2016年2月24日(水)

ロボットに投資を任せてみますか?

ガラパゴス化しかねないニッポン金融への警鐘 第4回

PRESIDENT Online スペシャル

著者
渡邊 竜士 わたなべ・りゅうし
トムソン・ロイター・マーケッツ執行役員

1972年、東京都生まれ、米国育ち。96年慶應義塾大学総合政策学部卒、同年野村證券入社。99年スイス野村バンク、2006年野村證券グローバルヘッジファンドセールスなど、主に国際部門にて経験を重ねる。12年野村インターナショナル(香港)のマネージング・ダイレクターを経て、14年よりトムソン・ロイター・マーケッツに入社して現職。トムソン・ロイターの経営企画や営業戦略等を担当している。
→トムソン・ロイター・ジャパン ViewPoint http://viewpoint.thomsonreutersjapan.jp/

渡邊竜士=文
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運用預り資産成長は150%強!

「何歳ですか? 現在の年収は? ところで貯金はいくらありますか?」

さて、誰が聞いているのでしょう。

聞いているのはロボット(コンピューター)、正確にはWebページにある質問事項だ。

他にも、毎月の支出、引退する年齢、家族構成、金融商品の知識レベル、リスク・リターン趣向(どれくらいの損失を覚悟し、それに応ずるどれくらいの運用収益を期待するか)等。真剣に悩んだとしても、僅か10~15分程度の質問事項に答えると、世界中の選択肢から貴方に最適な株や債券による運用をしてくれる、それがロボ・アドバイザーだ。

ここ5~10年欧米で広まった金融サービスに、「ロボ・アドバイザー」がある。日本での認知度は恐ろしく低いが、米国でFinTechベンチャーとして始まり、金融サービスの1つとして広く認められるようになった。総運用資産は世界中で200億ドル(約2.2兆円)を超えているが、前年度比が150%強の水準で盛り上がっている。このペースだと2020年には約2~3兆ドル(約242~330兆円)規模、日本の家計金融資産における株・債券・投資信託の残高である約2.5兆ドルとほぼ同額だ。

世界家計金融資産の2020年予想(注1)は345兆ドルであり、仮に株・債券・投資信託等での運用比率が3割である約100兆ドルとすると、ロボ・アドバイザーという業種が資産運用業界で数%のシェアを取る想定となる。”我々はいつも2年以内の変化を過大に、10年以内の変化を過小に想定してしまう”(注2)という言葉を信じると、数十%水準にもなる可能性は否定できない。

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