大阪市立桜宮高バスケットボール部の主将で、顧問に体罰を受け2012年に自殺した男子生徒(当時17才)の両親ら遺族が、大阪市に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(岩井伸晃裁判長)は2016年2月24日、
「体罰で精神的に追い詰められて自殺した。顧問は自殺を予測することもできた」
と指摘し、市に約7500万円の支払いを命じました。
大阪市に損害賠償を求めた訴訟の判決のため、東京地裁に向かう遺族=24日午後0時40分
2015年12月まで橋下徹氏、つづいておおさか維新の会の吉村氏が市長をしている大阪市は、
「自殺は元顧問の暴力が原因ではなく、予見もできなかった」
「キャプテンとしての重圧が自殺の最大の原因だった」
と体罰との因果関係を否定し、と反論し、元顧問も市側の立場で出廷し、
「過去に十数人の生徒に同じようなことをした。生徒の自殺の原因は分からない」
と述べましたが、大阪市の主張は認められませんでした。
元顧問には、暴行と傷害の罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決が確定している。
橋下氏は長く体罰を容認してきており、大阪府知事・市長としても体罰容認発言を繰り返していました。
たとえば、大阪府知事時代の2008年10月26日に大阪府と府教育委員会の討論会で
「子どもが走り回って授業にならないのに、注意すれば保護者が怒鳴り込み、頭を小突くと体罰だと騒ぐ。こんなことでは先生が教育をできない」
「口で言って聞かないと手を出さないとしょうがない」
と発言しています。
また、大阪市長になってからも、事件直前の2012年10月2日の大阪市の教育振興基本計画有識者会議で、
「先生ももうちょっと、どうなんですか、懲戒権というか、認めてあげられないもんなんですかねー。ちょっと立たせただけで体罰(と言われる)とかですね…。『これぐらいはいいでしょう』っていうガイドラインを示してあげるとですね…。もう(生徒を)怒れなくなってますよ、先生が」
「胸ぐらつかまれたら放り投げるぐらいまではオッケーだとか、蹴られた痛さを体験しないと(自信)過剰になる。蹴られた痛さ、腹ド突かれた痛さが分かれば歯止めになる」
と、教員が問題生徒に対して行なえる対策が限られていることを問題視し、ガイドラインの一例として、
「僕は、もみあげをつまんで引き上げるくらいまではいいと思うんですけどね、そんなのしょっちゅうありましたし、それぐらいなかったらねー、ダメです。大阪市でそれを体罰とか何とか言われたら、政治で僕が引き受けますから」
と言ったばかりでした。
体罰を容認してきた橋下市長のあるべき反省と謝罪のしかた 追伸あり
ところが、橋下市長は2013年1月15日の記者会見では、
「仲間が死んだのだから、今何をすべきか考えてもらいたい。この状況で部活をやったら、人間としてはダメだ」
1月17日の記者会見では、
「(桜宮高校は)子どもを迎えられる体制ではない。受験生がかわいそうといったことよりはるかに深刻な事態」
「(今春の入試は)あきらめてもらう」
と言いだしました。
あげくのはてに、自分も早稲田大学の入試に失敗して浪人したと例をあげながら、同校の入試中止について
「受験生は生きているだけで丸儲け。またチャンスはある」
というのです。
自分は入試に失敗したんだから彼のお得意のフレーズである「自己責任」であって、自分が悪いわけでもないのに目指していた高校入試がなくなってしまう受験生とは全く立場が違うのに!
そして、1月23日のツイッターでは
「入試を止めて体罰がなくなるわけではないのは当たり前。しかし今回の問題を本質的に解決するためには生徒・保護者に考えてもらうこと。
入試を止めて、継続性を絶って、そして考えてもらうことがどうしても必要だ」
などとつぶやき、完全に自分は正義の味方に。
むしろ被害者的な立場のはずの桜宮高校の生徒と保護者を、十把一からげに加害者側・反省する側にしてしまったのです。
桜宮高校生徒への嫌がらせに見るいじめ社会での大人と橋下市長の責任
当然、大阪市立の中学校の校長会は2012年1月17日、
「受験生の動揺が広がっている」
「中学3年生の進路の選択に影響を及ぼすことは認められない」
として、入試を予定通り行うよう教育委員会に申し入れました。
しかし、橋下市長は17日の記者会見で、
「一番、重要なのは亡くなった生徒のことで、どちらが重要なのか分かっていない。そういう校長は大阪市にはいらない。公募でどんどん替えていく」
と強権発動をちらつかせて恫喝し、校長会の対応を強く批判しました。
しかし、結局、桜宮高校の体育科募集を普通科募集にすることで決着という迷走ぶり。
桜宮高校の体育科入試中止のような、募集続行のような、何も解決しない「すばらしい大人の決定」
ちなみに、橋下市長はもう4月から新学期なのに校長をはじめとする同高の全教員約70人を異動させる「総入れ替え」を市教委に要請し、これを実現するために
「来年度、桜宮高校の体育教師が残るなら体育教師の人件費の予算は執行しない」
と述べてもいます。
橋下市長の行き当たりばったりの言動を見ていてわかることは、橋下氏が教育とは生徒たちに寄り添う営みで、しかも、子どもたちの安心感、教育方針の安定性・継続性が非常に大事であるいうことが全く分かっていないことです。
また、いじめや学校事故・事件については、第三者調査委員会を作るなどのノウハウが現場で蓄積されています。
独断専行の橋下市長はやることが乱暴すぎます。
あんなパフォーマンス優先の教育行政は二度とごめんです。
桜宮高校の入試中止、校長・教師の全取り換えをいう橋下市長の市長職「中止」=首のすげ替えが一番の方法だ
桜宮高校バスケット部体罰事件の真実―そして少年は死ぬことに決めた― | |
島沢優子 (著) | |
朝日新聞出版 |
2013年に発覚した大阪の名門高校バスケ部キャプテンの自殺。 17歳が死を選んだ理由は、顧問による体罰だけが原因なのか?
遺族や関係者への綿密な取材に基づき、重大事件の真実と裏側に迫る衝撃のルポルタージュ。
桜宮高校を全否定し、生徒や保護者達まで非難していたのに、裁判では体罰と自殺の因果関係を否定する大阪市の弁護方針を容認していた橋下氏はひどくないですか。
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桜宮高自殺訴訟、市に7500万円賠償命令 東京地裁
2016年2月24日13時27分 朝日新聞
大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒(当時17)が自殺したのは、顧問だった元教諭(50)=懲戒免職=の暴力が原因だとして、関東に住む遺族が市に約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、約7500万円の支払いを市に命じる判決を言い渡した。岩井伸晃裁判長は「元顧問の暴行で精神的に追い詰められたことが原因で自殺した」と認めた。
判決によると、主将だった生徒は、元顧問から平手打ちなどの暴力を繰り返され、「主将やめろ」などの暴言を受けた。2012年12月に自宅で自殺。「なぜ僕だけがあんなにシバき回されなければならないのですか」と書いた元顧問宛ての手紙を書き残していた。
遺族側は「元顧問の暴力が生徒を極限まで追い詰め、校長らも暴力を知りながら放置した」と主張。市側は「自殺は元顧問の暴力が原因ではなく、予見もできなかった」と反論した。元顧問も市側の立場で出廷し、「過去に十数人の生徒に同じようなことをした。生徒の自殺の原因は分からない」と述べた。
元顧問は、暴行と傷害の罪で懲役1年執行猶予3年の有罪判決が確定している。
桜宮高体罰、大阪市に7500万円賠償命令
大阪市立桜宮さくらのみや高校バスケットボール部の顧問教諭から体罰を受け、2012年12月に自殺したキャプテンの2年男子生徒(当時17歳)の両親と兄が、市に約1億7400万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は24日、市に計約7500万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
岩井伸晃裁判長は、顧問の暴行と自殺には関係があると認め、「顧問は自殺を予見できたのに、強度に自殺の危険性を増大させる行為を続けた」と指摘した。
訴状によると、当時顧問だった元教諭(50)(懲戒免職、有罪確定)は、男子生徒に対し、「キャプテン辞めろ」と叱りつけるなど圧迫的な言動を繰り返し、12年12月22日の練習試合中には顔や頭を何度も殴るなどした。生徒は翌23日、自宅で自殺した。
訴訟で、遺族は「暴力的指導で極限まで追い詰め、死を選ばざるを得ない絶望感を与えた」とし、元教諭の一連の暴行が原因で自殺したと主張。当時の校長や教頭らについても自殺の1年以上前から元教諭の体罰に関する公益通報などがあったのに管理責任を果たさず放置したと訴えていた。
橋下知事「手を出さないとしょうがない」 体罰容認発言
2008年10月26日22時49分 朝日新聞
「大阪の教育を考える府民討論会」で発言する橋下徹知事=26日午後、堺市中区、山本裕之撮影
大阪府の橋下徹知事は26日、堺市で開かれた「大阪の教育を考える府民討論会」(府、府教委主催)に出席、学力向上のための緊急対策に盛り込んだ反復学習の実施に理解を求めた。一方、「口で言って聞かないと手を出さないとしょうがない」と体罰を容認する発言をした。
知事は「私は学力を必ず上げます」と断言、「子どもが社会に出て壁にぶつかったとき、乗り越えられる能力が絶対必要だ」と訴えた。一方で「子どもが走り 回って授業にならない。ちょっとしかって頭でもコツンとしようものなら、やれ体罰だと叫んでくる。これで赤の他人の先生が教育をできるか」と話し、どこま でを教育と認めるか合意形成が必要だとした。
また、質問に立った日教組の組合員という小学校職員が、「日教組の強いところは学力が低い」などと発言した中山前国土交通相を知事が擁護したことを批 判。その後、知事を非難するヤジが続くと、知事は「中山発言正しいじゃないですか」「これが大阪の教育現場。こういう教師が現場で暴れ放題する」「9割の 先生は一生懸命やってる。1割のどうしようもない先生を排除してください」と激しい口調で話した。
討論会後、報道陣から体罰を容認するのかと聞かれた知事は「体罰という言葉にとらわれる必要はない」と答えた。これに対し、討論会に同席した生野照子・府教育委員長は「体罰に関する発言は間違っている」と話した。
「体罰」場合によってはOK? 橋下氏ら問題提起
2012年2月6日 朝日新聞
大阪維新の会(代表・橋下徹大阪市長)が府議会に提出した教育基本条例案に「(教員は)教育上必要があるときは、必要最小限の有形力を行使して児童生徒に懲戒を加えることができる」という条項がある。体罰批判を恐れるあまり、必要な指導ができなくなっているとの問題意識があるのだという。殴る、けるなどの行為とは区別するため「体罰は加えることができない」とも加えた。だがその線引きをめぐり、現場では長く論争が続いてきた。
有形力とは目に見える物理的な力のこと。条例案作りにかかわった維新の会の横山英幸府議(30)によると、暴れる生徒を羽交い締めにして押さえるなどの行為を想定。体罰とは明確に区別しているという。
橋下氏は1月30日、保護者が学校運営にかかわる仕組みをつくり、有形力の行使を認めるかは学校ごとに判断できるようにしたいと話した。「保護者との信頼関係の中で、宿題を忘れたら立たせるぐらいいいじゃないかという学校もありますよ」
学校教育法は体罰を禁じているが、指導との線引きは難しく解釈が分かれてきた。文部科学省は2007年、線引きの基準となる指導方針を通知。体罰にあたるかは、前後の経緯や子どもの心身の状況などを総合的にみて判断するとし、有形力の行使は「一切が体罰として許されないものではない」と位置づけた。
学校現場では保護者のクレームの増加もあり、体に触れることには慎重になっている。50代の男性中学教諭は「遠回りでも言葉でさとすのが最良だという意識が定着してきた。政治が困難な現場に目を向けてくれたことはうれしいが、体罰容認と取られ、力に頼らぬ指導が混乱する可能性もある」と心配する。
大阪市の橋下徹市長が提案した問題生徒・児童への対応指針が物議をかもしている。市の有識者会議で、橋下市長は教員が「懲戒権」を活用できるようにすべきだと提案し、「もみあげをつまんで引き上げるくらいまではいいと思う」などと述べた。橋下市長は、これは「体罰」とは異なるものだとしているが、「発言は体罰容認につながる」との批判が出ている。
学校基本法では体罰を禁じており、「指導」と「体罰」の線引きについては議論が続いてきた。この線引きについては、07年に文科省が、問題行動を起こす生徒への対応についてのガイドラインで示している。それによると、「殴る、蹴る」「正座・直立等特定の姿勢を長時間にわたって保持させる」といった行為は体罰にあたると解釈されているが、有形力(目に見える物理的な力)の行使をともなう懲戒については、「一切が体罰として許されないというものではない」とも説明している。
「ちょっと立たせただけで体罰とかですね…」
橋下市長は、2012年10月2日に開かれた教育振興基本計画を議論する有識者会議の中で、
「文科省のガイドラインに(加えて)、また大阪市が作ってもいいんじゃないですか?」
と、さらに具体的なガイドラインを作るように求めた。橋下市長は、
「先生ももうちょっと、どうなんですか、懲戒権というか、認めてあげられないもんなんですかねー。ちょっと立たせただけで体罰(と言われる)とかですね…。『これぐらいはいいでしょう』っていうガイドラインを示してあげるとですね…。もう(生徒を)怒れなくなってますよ、先生が」
と、教員が問題生徒に対して行える対策が限られていることを問題視。「体罰はダメ」と断りながらも、ガイドラインの一例として、
「僕は、もみあげをつまんで引き上げるくらいまではいいと思うんですけどね、そんなのしょっちゅうありましたし、それぐらいなかったらねー、ダメです。大阪市でそれを体罰とか何とか言われたら、政治で僕が引き受けますから」
と述べた。さらに、
「腹をどつかれた時の痛さ、そういうものが分かれば、相手側の方に対しても歯止めになると思う」
と、いじめ対策の側面も強調した。
囲み取材では一転「それは有識者が考えること」
だが、この日の夕方の囲み取材では一転、慎重姿勢に終始した。
「文科省のガイドラインよりも踏み込んだ形にするのか」
との記者の質問には、
「そこは僕は何もいっていない。有識者で考えてもらうこと。僕は問題提起をしたところまで」
とかわし、
「市長の問題意識としては、有形力の行使をある程度認めるべきだ、ということなのか」
と重ねて聞かれても、
「それは有識者が考えること」
と繰り返すにとどまった。
この発言をめぐっては、早速批判が出ている。例えば、橋下市長に対して対決姿勢を続けている日本共産党の「しんぶん赤旗」は、10月3日の紙面で、
「体罰は暴力そのもので、絶対に許されません。橋下氏の発言は体罰容認につながるもので、批判は免れません」
と報じている。
<大阪・高2自殺> 橋下市長、直轄100人態勢で調査へ
- 毎日新聞
- 2013年01月10日11時45分
橋下市長は体罰や謝罪を巡り、学校側と遺族の説明が食い違うことについて「遺族の求めるような対応策が取れていない」と問題視。全ての市立小、中、高校を対象とする体罰調査について「僕が陣頭指揮を執らないと駄目」と話し、100人態勢の直轄チームを作る考えを示した。
また、11年9月に顧問の体罰を指摘する通報があったのに、調査までに1カ月かかったり、顧問から15分間しか聴取しなかった点についても「許されない」として、制度見直しを表明した。
橋下市長は、生徒が自殺前日に顧問から30〜40回顔をたたかれた、と両親が証言していることについて、「事実であれば許されない。犯罪だ」と激怒。一方で、「子どもに対して手をあげることは場合によってはあり得る。僕も体育会をやってたから分かるが、試合中にビンタすることはある」とも話している。【林由紀子】
「橋下市長は分かっていない」募集停止に在校生から悲鳴
大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒=当時(17)=が顧問(47)の体罰を受けて自殺した問題で、橋下徹大阪市長(43)は16日、体育系2科の募集を中止する意向をあらためて強調した。これに対して同校の生徒らからは「やりすぎ」「橋下市長は分かっていない」と反発の声が上がるなど、波紋が広がっている。
「先生の体罰は問題だけど、生徒はみんな一生懸命だった。橋下市長は分かっていない」
“橋下批判”を口にするのは同校普通科の女子生徒。この女子生徒は「体育科への進学を希望していた中学生がかわいそうだ」と後輩が“とばっちり”を受けることも指摘する。
渦中の体育科の生徒からも批判的な意見が聞かれた。体育科1年で剣道部に所属する女子生徒(16)は「体育科は学校の特色で大事な存在。予定通り入試をしてほしい」と話す。
続けて「部活動も活動停止になりみんな困っている。生徒は悪くないはずなのに」と戸惑った表情を浮かべた。
体育科が同校の看板のひとつになっていることは生徒らも認識しているようで、別の普通科の女子生徒も「スポーツの評判が高かったのだから、体育科あっての桜宮高校だと思う。中止は考え直してほしい」と訴えた。
さらに、市教育委員会には16日、同校に受験を予定している中学生の保護者や在校生、一般市民らから電話やメールが殺到した。
「受験生は悪くないのに影響を受けるのはおかしい」「この時期の中止は受験生の混乱が大きい」「子供たちの夢をつぶすようなことはやめてほしい」
50件以上の意見の大半は反対の声。そのほかに在校生の保護者からは同校の存続を心配する声もあったという。
市教委は入試が中止となれば体育系学科の定員を普通科に振り替える方針だが、体育系学科と普通科では受験科目が異なり、受験生の混乱は必至だ。
こうした状況に対して橋下氏は16日、「桜宮高を目指して頑張ってきた受験生、保護者の気持ちはよく分かるが」としながらも、「これまでの生徒、保護者の意識の積み重ねで桜宮高の体育系クラブの伝統が築かれてきた」と主張。
「入試をやめて校風、体質をいったんゼロにしないと新しい生徒を迎えるわけにはいかない」と強調しており、あくまでも考えを変えない構えだ。
この中学生は桜宮高校の体育科を志望していて、「なんで僕たちが、それで受けられなくなるのかわからないです。ずっと桜宮(高校)を目指して頑張ってきたので、ちょっと嫌です」と語った。
受験生も困惑する事態となったきっかけは、橋下市長の発言。
橋下市長は「体育科については、入試は2012年度はやめるべきだという考え方を教育委員会に伝えました。こんなところで、体育科をそのまま入試したら、大阪の恥ですよ」と述べた。
15日、橋下市長は、市の教育委員会に対し、2月に予定されている桜宮高校の体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止するよう要請した。
橋下市長は、部活における体罰を保護者も容認していたと指摘し、2つの学科について、新たな生徒の受け入れを中止することで、意識改革を図るとしている。
橋下市長は「今回は、もちろん顧問、教員、もっと言えば校長に、第一の責任があることは間違いありません。もちろん教育委員会も、きちんと管理できなかった。桜宮高校のこれまでの積み重ねや伝統。そういうことを、多くの保護者が容認していると思います。また、そういうことを求めてきたと思います。このまま入試をやってしまうと、今までと同じ意識で、桜宮高校に生徒が入ってきてしまいますから、過去の連続性を断ち切るためにも、1回体育科の入試を止める」と語った。
一方、教育委員会側は、受験生への影響が大きすぎると難色を示し、回答を保留している。
大阪市教育委員会の長谷川委員長は「ここまでギリギリまで、入試状況のところで、子どもたちに混乱を生じさせて本当にいいのか」と語った。
市教育委員会は、さらなる議論が必要として、来週までに入試を中止するかどうか、決定するとしている。
桜宮高校体育科を志望する中学3年生は「桜宮(の体育科)以外で、行きたいところがあるかと言われたら、今はないですし、やっぱりそこに切り替えてとなると、モチベーションがもちにくい」と語った。
この男子中学生も、桜宮高校に入り、野球部に入部することを希望している。
桜宮高校を志望する理由としては、家庭の事情も挙げた。
男子中学生は「私立で、甲子園目指してやりたいと思っていて。その中で、家のこと(経済事情)とか考えて、大阪の公立で強いところは桜宮高校なので。本当に桜宮に行きたいという気持ちが強い」と語った。
桜宮高校の体育科を目指す受験生の保護者からも、戸惑いの声が上がっている。
桜宮高校体育科を目指す受験生の母親は「目標をぱっと取り上げられたら、やっぱり見失ったときのダメージっていうのが、15歳ですから、切り替えられるかなという不安が、正直、この時期ですし、あります。これだけすごく頑張ってきているのを、一番身近で親が見ていると思うんですよ。それを、こういうことになったからあきらめろって、簡単に橋下市長言えますかと。ご自分もお子さんいる中で、それが(自分の子どもにも)言えるのかなって」と語った。
男子中学生は「やっぱり、今しか受験できないから、我慢するという言い方はやめてもらいたい。いまさら志望校を変えるとか、全然考えていなかったので」と語った。
大阪市教育委員会には、この入試への対応について、16日午後3時までに52件の意見が寄せられていて、そのうち48件が、「受験生には罪はない」といった内容だという。
広がる波紋について、橋下市長は17日、「同じ、学校の生徒が1人死んだという事案を、軽く見すぎなのではと思います。市民の皆さんは、いろいろ入試を止めることに関して、『受験生は一生懸命、勉強してきたのに』、『受験生のことを何考えている』、『在校生に罪はない』というのは、事案を軽く扱いすぎ。新入生を、今のこのような状態で迎えられますかってことですよ。(中学生に高校受験は2度目はないが?)生きていたら、チャンスはありますよ。いくらでも、そんなのは。命があれば。1度や2度でね、人生が全部つぶれるようなものではないんです。そういうことを教えるのも教育ですよ。今回の件を契機として、大阪市としては、高校はコントロールできないとはっきりした。(高校は)早く府へ移管して、大阪市は、小学校と中学校に専念する。それでもまだ数が多いので大変ですけど、高校までは所管できません」と述べた。
そして、下村文科相は「大阪市立の高校ですから、橋下市長の判断として受け止めるが、本質的な解決を、国として考えていく必要があると思います。職員を取り換えて済むことは、そこの高校について言えるかもしれないが、ほかの高校には一切なかったのかとはならないと思う。あらためて、国として、注意喚起しながら、体罰をさせない。そういう学校現場をつくっていくように、努力する必要があると思います」という考えを示した。
桜宮高の入試中止案、橋下市長は「ボクは受験生のことを考えている」も批判殺到
2013.01.17 朝日新聞
大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の自殺問題に絡んで、橋下徹市長が提案している体育2科の「入試中止」に対する各方面からの反発が止まらない。それでも橋下市長は16日、「生徒が死んだ。越えてはいけない一線を越えたから、高校の伝統を断ち切る」と改めて中止の必要性を強調。「僕は受験生のことを考えて判断した」と話すが、在校生も「やり過ぎだ」と訴えた。
■普通科定員増で対応?
桜宮高校体育科とスポーツ健康科学科(定員計120人)の入試を中止することに伴う混乱を抑えるため、橋下市長が示しているのが、普通科の定員を120人増やす対応策だ。
しかし、体育系2科と普通科ではそもそも受験科目数や配点が異なる。体育系2科は国・数・英(各50点)の3科目に運動能力検査などの実技試験(計150点)が加わるのに対し、普通科は前期なら国、数、英(各70点)の3科目に小論文が、後期なら3科目に理、社(同)の2科目が加わる。
しかも、体育系2科の入試は2月20、21日と約1カ月後に迫っており、教育関係者は「受験対策が間に合うわけがない」と憤る。
■他学校の体育科増やす?
大阪府内で体育系学科があるのは桜宮高のほか、大阪市立汎(はん)愛(あい)高校(定員120人)、府立摂津高校(同80人)、府立大塚高校(同80人)の3校。これら3校の定員を増やす案も出された。
大阪府の松井一郎知事は16日の定例会見で、「体育科を志望する子供たちが行き場を失わないようにしたい」と言及。府立2校の体育科の定員増を府教委に求める意向を示した。
しかし、これには府教委が難色。定員を増やすなら、新たに教職員や教室を確保する必要があり、中西正人教育長は同日の記者会見で「極めて困難」と言い切った。
松井知事は、中西教育長の発言を「子供たちの立場で考えていない」と批判したが、試験直前に志望校を代えろというのも「子供たちの立場で考えていない」(桜宮高校関係者)。
また、橋下市長はいったん普通科に入学した生徒が、後に体育科に編入できる仕組みづくりも示唆しているが、これにも課題がある。
市教委によると、体育科のような専門学科は専門単位を3年間で25単位以上取得する必要があり、仮に2年生が編入する場合、1年生からやりなおさなくてはならない事態になる可能性があるという。
■「不利益には慎重に」
入試中止騒動を現役の運動部員はどう受け止めているのか。桜宮高校剣道部に所属する体育科1年の女子生徒(16)は「1年生が入ってこなければ、これまでの伝統が途絶えてしまう」と嘆く。
また、桜宮高体育科を目指す中学生を教える府内の塾講師の女性(32)は「体罰問題発覚後も、生徒は『桜宮を受験する意思は変わらない』と言っていただけにかわいそう」と心配する。
鳴門教育大大学院の阪根健二教授(学校教育学)は「安心して生徒を受け入れる態勢づくりを急ぐのは理解できるが、生徒の不利益については慎重であるべきだ」と話す。
入試中止の提案について、市教委には市民から批判のメールや抗議電話が殺到。「受験生に罪はない」と橋下市長に否定的な意見が目立つという。
それでも、橋下市長の信念は揺らぐ様子はない。16日夕も報道陣に対し「完全に違う桜宮高校として再生し、生徒を新しく迎えるべきだ」と力説した。
「受験生は生きているだけで丸儲け」橋下市長が発言 桜宮高2自殺
配信元:産経新聞
2013/01/18 12:42更新
大阪市立桜宮高校の男子バスケットボール部主将=当時(17)=が男性顧問(47)の体罰翌日に自殺した問題に絡み、市教委に同校体育系2科の入試中止を求めた橋下徹市長が「(受験生は)生きているだけで丸儲け」と述べた。自らが提案した同校の入試中止を意識した発言とみられるが、入試を直前に控えた受験生らに対する発言として配慮が足りないとの批判も招きそうだ。
橋下市長は17日の記者会見で、市教委に入試実施の要望書を提出した市立中学校長会の対応に触れ、「事の重大さがわかっていない。教育者失格だ」と痛烈に 批判。その上で「一番重要なのは生徒が亡くなったこと。(受験生は)生きているだけで丸儲け。またチャンスはある」と述べた。
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