ライフハッカー編集部 - ニュース・コラム,健康,生活,科学,身だしなみ 09:00 AM
制汗剤やデオドラントは「腋の下の微生物叢」を変化させる
Popular Science:自分が不快な匂いを発しているときは、友達の近くにいづらいですよね。ですから、私たちの多くは、制汗剤やデオドラントを使って、その天然ムスクの攻撃力を抑えています。学術誌『PeerJ』に2月2日付けで発表された新しい研究によると、これらのパーソナルケア製品は、私たちの腋の下に生息するバクテリアの個体数に変化をもたらしているそうです。
暗くて湿った腋の下にはたくさんのバクテリアがいますから、デオドラントがこれらに作用するのは理にかなった話です。バクテリアが汗を分解するとき、悪臭を放つチオール(チオアルコール)という化合物を生成します。そしてデオドラントや制汗剤は、毛穴から出る汗の量を減らすだけでなく、毛穴に生息してその汗を分解するバクテリアの数を減らすことで効果を発揮するのです。しかし、これらの製品は腋の下の微生物叢(マイクロバイオーム)に持続的な影響を与えうるのか、それらは何か特定の種類のバクテリアを標的にしているのか、などはこれまでわかっていませんでした。
今回の新しい研究で、研究チームは17人の被験者を3つのグループに分けました。制汗剤を定期的に使っているグループ、デオドラントを使っているグループ、そして、何も使っていないグループです(研究チームは、含まれる活性成分で制汗剤とデオドラントを区別しました)。
8日間におよぶ調査の第1日目、被験者たちはいつも通りのルーチンを続けました。2~6日目は、全員が製品の使用をやめました。そして最後の2日間は、全員が研究チームから与えられた制汗剤(アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスグリシンを活性成分として含む製品)を使いました。
研究チームは毎日、綿棒で被験者の両方の腋の下からサンプルを採取しました。そして、実験の間に微生物叢がどのように変化するのかを解明するため、バクテリアを培養して、DNAシークエンシングを行いました。
初日のあと、3つのグループの中では「制汗剤を使っているグループ」が、全体的に腋の下に生息しているバクテリアの数が一番少なく、反対に「デオドラントを使っているグループ」が、バクテリアの数が平均して一番多いことがわかりました。全員が製品の使用をやめると、各被験者が保有するバクテリアの数は同じぐらいになり、微生物叢のバクテリアの量は時間が経つと回復しうることが示されました。しかし、これら微生物叢の多様性に対する製品の効果は持続しました。制汗剤やデオドラントの使用をやめてから5日後でも、それらを習慣的に使っている被験者たちの腋の下には、より多様なバクテリアが生息していたのです。
この結果が私たちの健康にとって何を意味するのか、研究チームにもはっきりとしたことはわかっていません。体のほかの部分では、より多様性に富んだ微生物叢は免疫力の向上と関連づけられてきました。一方で、こちらのプレスリリースによると、制汗剤やデオドラントを普段使わない被験者たちは、病原体に対して強い防御力を発揮することで知られるコリネバクテリアをより高い比率で保有していたそうです。今回の研究結果は、多様性に富んだ微生物叢を持つ、少数の被験者たちによってもたらされたものであるため、これをもとに明確な結論を下すことは困難です。研究チームは、腋の下に広がる微生物叢の多様性が、個人の健康にどのように影響するのかを、今後の研究で明らかにしたいとしています。
ANTIPERSPIRANTS, DEODORANTS CHANGE YOUR ARMPIT MICROBIOME|Popular Science
Alexandra Ossola(訳:阪本博希/ガリレオ)
Photo by PIXTA.
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