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桜宮高校自殺訴訟 大阪市に7500万円賠償命令
2月24日 13時35分

桜宮高校自殺訴訟 大阪市に7500万円賠償命令
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大阪市立桜宮高校のバスケットボール部の男子生徒が自殺したことを巡り遺族が大阪市に賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所は、顧問だった元教諭の体罰などが自殺の原因になったと指摘し、大阪市におよそ7500万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
4年前、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部のキャプテンだった男子生徒が自殺したことを巡って、生徒の両親と兄は、顧問だった元教諭の体罰や暴言が原因だったとして、大阪市に賠償を求める訴えを起こしました。
24日の判決で、東京地方裁判所の岩井伸晃裁判長は「元教諭による暴行などは教育上の指導として許される範囲を著しく逸脱していた。男子生徒は強い心理的な打撃や屈辱感を受けて精神的に追い詰められていた」として、顧問だった元教諭の体罰などが自殺の原因になったと指摘しました。
そのうえで、「教師の指導による自殺がすでに社会問題化していて、文部科学省は全国の高校などの教員に注意喚起をしていた。元教諭は生徒の自殺を予測できたのに、自殺の危険性を増大させる行為を行い続けた」として、大阪市におよそ7500万円の支払いを命じました。
元教諭は、男子生徒への暴行と傷害の罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定しています。

指導の在り方 見直し進む

男子生徒は、当時、桜宮高校の2年生で、自殺する3か月前の平成24年9月にバスケットボール部のキャプテンになりました。判決によりますとその直後から元教諭に練習試合などの際にチームメートなどの前で、「キャプテンを辞めろ」などとしかりつけられたほか、顔面をたたかれるなど体罰や暴言を受けるようになりました。
男子生徒は元教諭に苦しさを伝えるため、自殺する3日前までに手紙を書きましたが渡せませんでした。手紙には、「先生がキャプテンの自分ばかりを責めてくることに僕は不満を持っています」とか、「なぜ僕だけがシバき回されなければならないのか、理不尽だと思います」などとつづられていました。そして、平成24年12月、練習試合で元顧問に顔をたたかれた翌日、自宅で自殺しているのが見つかりました。
この問題が明らかになると、部活動や教育の現場で行われてきた体罰を非難する声が高まり、指導の在り方が見直されるきっかけになりました。
国は、体罰は学校基本法で禁止されている決して許されない行為であることを全国の学校に通知したほか、部活動の指導のガイドラインを定めました。また、大阪市教育委員会は、教師による体罰や暴力行為をほかの教師が見つけた場合に管理職への報告を求めるなど、対応策を示した指針をまとめました。
バスケットボール部の顧問だった元教諭は懲戒免職となり、男子生徒に対する暴行と傷害の罪で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定しました。

生徒の父「市は責任を受け止めてほしい」

判決の後、亡くなった生徒の両親と兄が弁護士とともに会見を開きました。
46歳の父親は「判決は主要な部分で納得がいくもので、正しい判決を言い渡してくれたと思います。大阪市は行政の責任を真摯(しんし)に受け止めてほしい」と述べました。そのうえで、「息子は天国に行ってからも判決が出るまで一緒に闘ってきましたが、本人も十分納得していると思います。息子にはありがとうと感謝を伝えたい」と話していました。
また、48歳の母親は「二度と息子のようなことを起こしたくないという思いからベストを尽くそうときょうまでやってきました。息子は生きていたら成人していて、姿を想像しますが、天国に行ってからもずっと一緒にいるよと思っています」と話していました。
また、兄は「きょう判決が出ましたが、仮に裁判がすべて終わっても弟は帰ってこないんだなという思いがあります。本当にたった1人の弟だったので、そういう心境です」と述べました。

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