Updated: Tokyo  2016/02/24 14:31  |  New York  2016/02/24 00:31  |  London  2016/02/24 05:31
 

1万円札の需要増加、タンス預金向けか-アベノミクスの懸念材料にも

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    (ブルームバーグ):国内人口が減少し電子マネーやクレジットカードの使用が広がる中でも、1万円札への需要は増加している。

現金需要は景気に明るいニュースにも見えるが、エコノミストの間には家計が現金をため込み、消費が減少する動きにつながりかねないと懸念する声もある。消費の刺激やデフレ脱却を目指す安倍晋三首相や黒田東彦日本銀行総裁にとってはやっかない問題になるかもしれない。

日本の紙幣の発行高は約100兆円で、日本経済の経済規模の約25%程度に達している。1万円札の流通高の2015年の増加率は6.2%と2002年以来の伸びとなった。家計の現金保有には額面が最も大きい1万円札を使う傾向がある、と第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは指摘する。

金庫メーカー、エーコーによると、今年の金庫出荷台数は前年同期に比べ倍増しており、在庫切れの商品もあるという。主因は政府が今年導入したマイナンバーシステムと関連があると同社ではみている。マイナンバーは、税金の未払い防止や適正な年金支給などが目的で、金融機関の口座は対象外だが、将来の適用が気になる人にとっては、現金需要やタンス預金を増加させる要因になる。

日銀が1月発表したマイナス金利政策も、そうした動きに拍車を掛ける可能性がある。黒田総裁は預金金利がマイナスになることは考えられないと繰り返し発言しているが、みずほ銀行や三井住友銀行などの主要銀行は普通預金の金利を0.001%まで下げている。

第一生命経済研の熊野氏は「マイナス金利は家計の家庭での現金保有増加を引き起こす可能性が高い」と述べ、「家庭での現金保有の高まりは先行きの経済への懸念を表しており、良いニュースとは言えない」と述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 藤岡徹 tfujioka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 谷合謙三, 上野英治郎

更新日時: 2016/02/24 12:57 JST

 
 
 
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