原子力規制委員会は24日、稼働から40年を超えた関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)について、再稼働に必要な安全審査の合格証にあたる「審査書案」をまとめた。1カ月間の意見募集を経て今春に正式決定する見通し。最長60年までの運転延長を目指す老朽原発では、初の審査合格となる。延長の実現には、残る手続きを7月の期限までに通過できるかが焦点だ。
東京電力福島第1原発事故後の原子炉等規制法改正で、原発の運転期間は原則40年となった。ただ規制委が認めた場合は最長60年まで延ばせる。規制委が2013年に導入した新規制基準に適合しているかをみる安全審査の合格は延長の前提となる。
高浜1、2号機の延長実現には今後、設備の詳細を記した「工事計画」と呼ぶ書類の確認や、原子炉などの機器の健全性を検証する規制委の別の審査も受ける必要がある。今年7月7日の期限までにこれらの手続きに合格しなくてはならない。合格しない場合、廃炉になる可能性もある。
高浜1、2号機の安全審査は15年4月に始まった。先行して合格した同3、4号機の審査で地震・津波対策など原発全体の基本的な安全確認は済んでおり、1年弱で合格にめどを付けた。
原子炉を覆う格納容器の機能補強、電源ケーブルの火災防止、1~4号機が同時に事故を起こした場合の対応などについても、関電が示した対策を規制委は妥当と認めた。
安全審査の合格が正式に決まれば、九州電力川内1、2号機(鹿児島県)や、高浜3、4号機などに続き4例目となる。高浜原発では3号機が今年1月に運転を再開したほか、4号機が今月26日にも再稼働する。