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 年明けから相次いだタレントや国会議員の不倫報道。なぜ、「辞職」や「休職」といった事態に発展したのか。2010年に女性タレントとの過去の不倫を報じられ、今も不倫についてのコメントを続けるジャーナリストの山路徹さん(54)に聞いた。

 ――最近の不倫騒動をどう見ましたか?

 ベッキーさんの場合、出演するCMや番組のスポンサー企業は、彼女の「清純派イメージ」と契約していて、イメージが崩れてしまえば、企業やテレビ局側には、彼女を起用し続ける理由がなくなる。それで、休業にまでつながったと思います。

 ただ、芸能人の不倫は「イメージを裏切った罪」。それが、ここまで断罪されることなのかな、とは思う。

 芸能人はプロとしてそれぞれイメージを演じていて、私生活とは必ずしも一致しない。もちろん、プロとしてイメージを保つ責任はある。だけど、世間が作ったイメージに合わないからと言って、「人格攻撃」までするのは、行き過ぎでしょう。

 不倫は当然、やっちゃだめ。でも、不倫自体は極めて個人的なことで、本来は当事者間の問題。それを公の場に引きずり出して、みんなでボコボコにしている印象がある。集団化すると歯止めがきかなくなる、いじめやリンチの論理に似ていると感じます。

 ――こういう状況になった時、当事者はどう対応するべきですか?

 とにかく世間に向かって説明しないとだめ。ベッキーさんの謝罪会見は、CMスポンサーや代理店への謝罪との印象を持たれ、結局、世間が「炎上」しました。でも、スポンサー自体は世間がどう判断するかをみている。あの会見は、そこを読み違えちゃった。

 宮崎さんの場合は、「イクメン」発言が持つ清廉性と行為のギャップが炎上した原因。

 別問題だが、国会議員の場合、「欲に負ける」という人はまずい。世の中には「ハニートラップ」もあるし、足をすくおうと狙う人たちが、わんさかいますからね。

 ――不倫を報じられても、休職も辞職もしない人は多いです。

 今回の不倫騒動で人の心が反応したのは、本質的な不倫の「善しあし」よりも、「清廉な人が悪いことをした」という「ギャップ」だと思う。

 偏見も含めて「イメージ」を世間は持っているが、これまで不倫を報じられた政治家は「やってんだろうな、そういうこと」と思われていて、イメージとのギャップが少ない。だから、世間はそんなに反応しない。

 ――6年前のご自身の不倫騒動は、どんな状況でしたか?

 「貝」になるしかない。ひたすら、謝って謝って謝罪に徹するしかない。それで許してくれるかわからない状況でした。それが、日本社会です。