長野佑介
2016年2月24日09時02分
昨夏にあった大阪市立中学校の歴史・公民教科書の採択の参考となった住民らを対象にした市教委のアンケートをめぐり、「組織的動員で育鵬社版への肯定意見が多数を占めた疑いがある。育鵬社版は公平に採択されたのか」という指摘が、23日の市議会の委員会で相次いだ。市教委は「アンケートは参考資料。教委の責任で公平に採択した」としている。
昨年8月、市教委は委員6人による多数決で今春から使う歴史・公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」の元幹部らが編集した育鵬社版を採択した。採択前の同6~7月、市教委が市内の教科書展示会場で住民らにアンケートした結果、育鵬社版に肯定的な意見が全体の約7割の779件を占めた。
これについて、大阪の教員らでつくる市民団体「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」が情報公開請求でアンケートの回答の写しを入手。自由記述欄に育鵬社版以外を「自虐史観に満ち溢れた教科書ばかり」などとほぼ同一の文面で記され、筆跡も似たものが複数あったとして、市議会に真相究明を求める陳情書を提出していた。
この日の市議会で、市教委の大森不二雄委員長は「アンケートの結果は重視しておらず、採択の決め手ではない」と答弁。ただ、アンケートは匿名で実施したことから「組織的動員はあったかもしれない」とし、実施方法の改善を検討すると述べた。(長野佑介)
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