長野佑介、後藤泰良
2016年2月24日05時49分
■子どもと貧困 学校で
「背筋伸ばして歩こー」「きょうも優等生でいきましょー」
関西のある公立中学校の女性教諭(55)は毎朝、校門に立ち登校の生徒を迎える。声をかけながら、視線は絶え間なく動く。表情、身なりに変わったことはないか。すれ違う際はにおいを確かめる。
子どもの貧困は見えにくい。しかし五感を研ぎ澄ませばSOSをキャッチできる。この女性教諭の身上だ。全校生徒の半数近くがドリルや給食、修学旅行などの就学援助を受けている。
忘れられない生徒がいる。
2013年夏、秋の運動会に向けて校庭で2年生が組み体操を練習中、途中でやめてしまった5人組がいた。
休み時間、廊下で理由を尋ねた。「あいつと手をつなぐの、嫌や」。言われた少年は髪に脂が浮き、白の体操着は灰にくすんでいた。「お風呂、入れてる?」。少年は視線をそらせた。「風呂、壊れてるし」
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