限界迎えた「金満国家」サウジアラビアの実像

「親日王子」の大改革には不安が潜んでいる

(写真:Hulton Archive/Getty Images)

「中東・アラブのイメージは?」

あなたはこう聞かれたら、どう答えるだろうか。日本人の答えで多いのは「砂漠」「ラクダ」「白色のシーツのような衣装を身にまとい、頭にも白い布をかぶったヒゲの男性」といったところではないか。中東とは、東はアフガニスタンやイランからアラビア半島、西は地中海東岸のシリア、レバノンからトルコに至る広い地域だ。イランやトルコ、イスラエルは言語も違い、アラビア文明の外にある。

にもかかわらず、日本人にとって中東の印象を決定づけるのは前述のステレオタイプだ。これは端的に言えばサウジアラビア人男性のイメージである。

サウジアラビアの印象が強い理由

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一口に中東といっても、その風土や気候、風俗・習慣は違うのに、なぜそれほどサウジの印象が強いのか。それはこの国がイスラム教の二つの聖地を抱えイスラム文化の中心であるということと、経済的には石油埋蔵量が世界トップであることからだろう。

週刊東洋経済は2月27日号(22日発売)の特集『中東危機』で、原油安によって窮地に立つサウジの実像を追っている。豊富な石油収入=オイルマネーで潤ってきた金満国家のサウジは、その資金を世界中で運用してきた。ところが、その動きに異変が生じている。年明けからの日本株の急落の原因の一つとされるのが、サウジの資金が本国に逆流していることだ。

サウジアラビアという国名は「サウド家のアラビア」を意味する。王室と有力部族がすべての権力を握る、幕藩体制さながらの国なのだ。世界最大級の石油産出量を誇るが、その収入はすべて王室が支配しており、国民の政治的な権利は大きく制限されている。そのかわり、税金はほとんど取らずに国民に手厚い福祉を保証してきた。教育や医療は基本的に無料だ。

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