今日、JPモルガンのインベスター・デーが開催されました。JPモルガンは、どの金融機関より業務内容の詳細な開示を行うことで知られています。



そのプレゼンテーションの中で同行は石油・天然ガス企業へのエクスポージャーを開示しました。

それによると、投資適格の格付けを持つ企業に対しては250億ドルのクレジットラインを提供しており、そのうち50億ドルがドローダウンされました。また投資不適格(ジャンク)の格付けを持つ企業に対しては190億ドルのクレジットラインを提供していますが、そのうち90億ドルがドローダウンされたことを明らかにしました。

クレジットラインは「困った時の」当座の資金を即座に借りる方法であり、あらかじめ銀行と借り手の間できめられた「枠」の上限まで借りることができます。

でも或る企業がクレジットラインに手を付けたら、投資家は「あの会社は資金繰りに困っている」とみなします。従ってクレジットラインをドローダウンしたら、次におカネを借りる際の金利コストは跳ねあがります。

このようにドローダウンはスティグマを背負う羽目に陥るので、なるべく最後まで事業会社はそれを避けます。

今回、JPモルガンが「ドローダウンが起き始めている」と開示したのを見て、投資家は(いよいよOuch timeが来たな……)と身の引き締まる思いをしたわけです。

なおJPモルガンは今期6億ドルの引当をとります。そのうち5億ドルが石油・天然ガス関連、残りの1億ドルが鉱業です。これで同行の引当金は合計16億ドルとなります。

また、JPモルガンは「今後原油価格が25ドルのまま推移すれば、さらに15億ドルの引当を取る必要が出る」とコメントしました。

そのシナリオが起こった場合でも、JPモルガンの経営は、びくともしないと思います。

一方、ヒューストンでは今週、CERAウイークが開催されています。これはエネルギーのコンサルタント会社、CERAが毎年開催しているカンファレンスで、今日、サウジアラビアのナイミ石油相がCERAのダニエル・ヤーギンと対談しました。



この動画の最後の部分で、ヤーギンが「いつ増産する決断をしたのだ?」とナイミ石油相に質問しますが「2014年11月に非OPECの業者とミーティングした際、原油価格の下落について、一体、どうする気だ? と質問したら、なにもしないという答えが返ってきたので、それなら、市場原理に任せて、とことん勝負する気になった。その場合、生産の限界コストが安い者が最終的に生き残る」と語っています。