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英国の政党政治で…

 英国の政党政治でトーリー党が保守党に、ホイッグ党が自由党に改名されたのは19世紀半ばのことだった。17世紀後半に連携して名誉革命を成功させ、政党政治の扉を開いた両党だが、以来1世紀半にもわたり党名はあまり気にしなかったのか▲というのもトーリーとはアイルランドの追いはぎ、ホイッグとはスコットランドの馬泥棒や反徒という意味である。始まりは国王の後継問題で対立した両派だったが、お互いに投げ合った悪罵(あくば)が党派名となったのだった。そもそも徒党と政党の区別のない時代だった▲日本で最初期の政党が「愛国公党」を名乗ったのも、「党」が私益にもとづく徒党を意味した時代に、公益のための結社なのを主張したかったのだろう。近代には世界的に自由や民主、進歩や保守、あるいは社会、共産といったその政治理念が政党の名に掲げられる▲さて、今日の日本はどうか。民主党への維新の党の合流に向けての動きが急で、その条件の一つが民主党の党名変更だという。当初は民主党の解党を求めていた維新だが、党名変更によって「新党色」が打ち出されれば合流に応じるという線で合意が目指されている▲そもそも自民1強状態での安倍政治への批判の受け皿となるはずの野党である。それにしては存在感が乏しすぎた中での野党合流とあれば、これを自らを変えるチャンスとしなければ未来はない。新たな党名と綱領はその旗印として大事に考えてもらわねばならない▲むろん英国の故事を振り返れば、党名自体が問題なのではない。くむべき国民の声をくむならば、「馬泥棒」でも「追いはぎ」でも歴史を動かせる。

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