2016-02-24
■最強のアーキテクト養成法
東京大学理学部には、鬼のような必修科目があることは、一般にはあまり知られていない。
それは一定期間のうちにCPU、GPU、OS、コンパイラ、などなどのツールチェインを一通り作って、動作させなければならないという課題である。FPGAを使ってCPUそのものの設計から行う必要がある。
これはプロのプログラマーであっても、経験したことがない過酷な課題で、正直、それを聞いた時には「果たしてそんなことが人間に可能なのか」と疑ってしまうほどだ。
しかし救済措置が残されていて、これはチームで取り組む課題である。四人一組(それでも少ない)となって誰がどれを担当するか決めるのだ。
まあとはいえこれは才能の世界である。
才能とは、それに没頭することが苦にならないという資質であり、ようするに好きモノでなければこの課題はクリアできない。
こういう話を聞く度に、「あーやっぱり東大生うらやましいなあ」と思う。
少なくとも10年前にはこの習慣は残っていて、東大理学系出身の社員からはこういう話を聞いては「羨ましいなあ」「さすが東大、課題を出す先生もセンスいいなあ」と思っていた。
それから幾年月。その課題を創りだした先生というのに、先日ひょんなことからお会いすることができた。
彼はCPUそのものの設計から、OSのカーネルまで、ワンストップで開発できるアーキテクトだ。
でもそのことよりも、彼がその課題を創りだしたということに感動した。
名課題の裏に名人あり、である。
こういうことが結局は日本のエリートを下支えしていたんだなあ。
昔は東大理学部の同様の課題といえば、ICを直接ハンダ付けしてTTL(トランジスタ・トランジスタ・ロジック)を組んで電卓程度の機能を再現する、という実験があったのだが、これだと設計がミスってるのかハンダ付けがミスってるのかわからず、ほとんどの学生が脱落してしまったのでFPGAに切り替えたのだそうだ。
そして新潟からの帰りだといって、帰り際に笹だんごを頂いた。
笹だんご。
実物を見るのは久しぶりである。
なにしろこれは故郷新潟の名物だからだ。
ただ、その日はすぐに出掛けなければならなかったので、総務部に持って行くと「笹だんご、大好物なんですよ!」と大変喜ばれた。
「笹だんごが大好物ってことありえるの?」
と聞くと、
「ええ。山形にいく度に買ってました」
と言われ、「え、新潟名物じゃないの!?」と混乱する。
Wikipediaによれば、新潟名物であってるらしい。山形にもなにかあるんだろうか。
明けて翌日、歌舞伎座で定例会議を終えて、UEIリサーチに戻ると、新潟出身のアシスタントが「これ、おみやげです」と笹だんごをくれた。
どうも今週はやたらと笹だんごに縁があるようだ。
まあ、美味しいよね。笹だんご。
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