色あせたアベノミクス効果
国内消費の低迷ぶりが一段と鮮明になってきた。
日本百貨店協会が2016年2月19日に発表した1月の全国百貨店売上高は、5309億円と前年同月比1.9%のマイナス(店舗数調整後)となった。
2014年4月の消費税率引き上げから1年が経過した2015年4月以降は対前年同月比でプラスが続いていたが、11月にマイナス2.7%と再び水面下に転落。12月は0.1%増とかろうじてプラスに戻していたが、1月に再びマイナスになった。
身の回り品や雑貨などはプラスを維持したものの、衣料品が6.6%減と大きく落ち込んだ。
同協会では「正月休暇が1日少なかったこと、月前半気温が高く防寒商品の動きが鈍かったこと、一部地域で大雪の影響を受けたことなど」をマイナスになった原因と分析している。だが、トレンドでみて消費動向が下り坂に入っていることは、もはや明らかだ。
アベノミクスの開始以降、円安による株価の上昇が消費にプラスに働く「資産効果」がみられた。だが、その「息切れ」も鮮明になってきた。これが最もよく表れているのが「美術・宝飾・貴金属」部門の伸び率の急速な鈍化だ。
消費増税の反動減が薄れた昨年4月以降、2ケタ増の高い伸びが続いてきたが、昨年10月の16.2%増から11月は11.3%増、12月は6.3%増、1月は5.4%増と月を追って伸び率が小さくなっている。アベノミクスが始まった2013年1月以降、伸び率は大きくなり、高額品消費の拡大傾向が続いたが、消費増税をきっかけに完全に方向性が逆になっている。
昨年後半以降の大幅な株価下落によって、「逆資産効果」が起きている可能性もある。つまり、株価が下落することで保有株の価値が下がり、財布のひもが締まって、ぜいたく品の消費を抑えているのである。高級時計や高級アクセサリーなどの売れ行きを見る限り、アベノミクスの効果は急速に色あせている。