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 博多と長崎を結ぶ九州新幹線長崎ルート(長崎新幹線)の整備計画を協議する与党の検討委員会は23日、当初予定の2022年度までに、新幹線と在来線を乗り継ぐ「リレー方式」で開業させる方向で最終調整に入った。車軸の幅を変えて新幹線と在来線の両方を走るフリーゲージトレイン(FGT)の国内初導入をめざすが、開発が大幅に遅れているため、代替措置で開業時期を堅持する方針だ。

 長崎新幹線は九州新幹線鹿児島ルート(博多―鹿児島中央)の一部と在来線を経由して再び新幹線軌道を走るルートでFGT導入を前提に整備が進められてきた。だが国土交通省は昨年12月、耐久走行試験中の故障の改善に時間がかかり、FGTによる22年度の全面開業は困難と公表した。

 対応をめぐり、沿線の長崎県と佐賀県の利害対立も表面化。22年度開業を前提に観光振興策を進める長崎県は予定通りに開業させるよう主張し、早い段階でリレー方式も容認する姿勢を示した。博多から近い佐賀県は新幹線導入の費用対効果が低いことなどから、開業が遅れてもFGT導入を優先するよう求めた。

 与党は今年1月、整備新幹線建設推進プロジェクトチームの中に検討委を設置し、今月23日までに長崎、佐賀両県知事の意見を聞くとともに水面下で調整。佐賀側が長崎の主張も考慮してリレー方式受け入れを検討する姿勢を確認した。今後、リレー方式での22年度開業を基本に、財政面で佐賀が不利益を被らない方策などを国交省と協議し、3月までに正式な与党案として取りまとめる。

 リレー方式が実現すると、現行の直通特急より博多―長崎間の所要時間が短縮される。ただ武雄温泉駅で乗り継ぎが必要になり、乗客に不便が生じる可能性もある。

 FGTについては、耐久走行試験で部品が破損するなど安全性が懸念されているが、国交省は引き続き開発を続ける。最短で25年度には量産車両を導入できるとしている。長崎新幹線はその段階で車両をFGTに切り替える方策を探ることになる。(野口陽、土屋亮)