土居新平
2016年2月24日05時21分
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が、朝日新聞の単独インタビューに応じた。日銀が16日に始めた「マイナス金利政策」の影響で、銀行の預金金利が引き下げられていることについて、「もともと非常に低い水準」としたうえで、「住宅ローンなどの貸出金利の低下の方が下げ幅も経済全体への影響もずっと大きい」と述べ、新政策の効果を強調した。
22日にインタビューした。日銀は1月末の金融政策決定会合で、金融機関が日銀に預けるお金の一部に年0・1%のマイナス金利をつける政策を決定。市場の金利水準を下げ、銀行の貸し出しが伸びる効果などを見込む。黒田総裁は、企業向け貸し出しの基準となる金利や住宅ローン金利が下がっていることを「狙い通り」とし、「これから設備投資や住宅投資などが増え、経済にプラスの影響が出てくる」と話した。
さらにマイナス幅を拡大する追加の金融緩和については、「十分な余地がある」とした一方で、「マイナス金利にすること自体が目的なのではない」「経済や物価の動向を無視してマイナス幅を拡大することはない」とも述べ、矢継ぎ早の拡大には慎重な姿勢を示した。また「個人の預金金利がマイナスになることはないと思う」と語った。
黒田総裁は、26~27日に中国の上海で開かれる主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、マイナス金利政策の狙いや効果などを各国に説明する意向を示した。
黒田総裁は2013年3月の就任からまもなく3年を迎える。当初「2年程度」としていた前年比2%の物価上昇目標が未達成であることについて、原油価格が「この1年半ほどで70%以上も下落したため」と説明。エネルギー品目を除いた物価が上がっていることなどを挙げ、「(日銀の緩和策が)全く失敗したとは考えていない」と述べた。(土居新平)
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