世界初! 口まで完全シンクロした顔面プロジェクションマッピングのamazarashi新作MV。映像制作の舞台裏に潜入

2016.02.23 19:37
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素顔を見せないロックバンド「amazarashi」。

中心人物の秋田ひろむとして活動を開始した2010年からメディア露出だけでなく、ライブでもステージに張った映像投影用の半透明スクリーンの裏側でプレイするほどの徹底した世界観を貫いています。

一方で、見るとハッとさせられるクリエイティブな映像から伝わってくるザワザワ感や驚きが、常にネットやファンの間で話題になっています。いわば、リアルな世界に存在するバーチャルなアーティスト


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そのamazarashiは、テクノロジーを駆使してシリアスなメッセージを伝える、メディアアート的なMVを展開してきたことで知られています。CGアニメーションをロトスコープやモーションキャプチャーと組み合わせた映像技法はもちろん、Twitter上の「死にたい」という投稿をプリントし続ける樹海のプリンター、歌詞がリアルタイムで生成されるスピーカー「Lyric Speaker」、生肉から歌詞の文字を切り出すレーザーカッターなど、素顔が見えない分だけ重要になる「歌詞」や「言葉」の表現方法として一線を画するテクノロジーの見せ方で、見る人をアッと驚かせて来ました。

そのクリエイティブは、MVが出る度にネットだけでなくクリエイティブ業界でも騒がれてきました。これまでもメディア芸術祭の優秀賞や、3DCG AWARDS、SIGGRAPH、DOTMOV FESTIVALなど国内外のアート業界で高い評価を受けているほどです。


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そして今回、3月24日(水)にリリースされる新アルバム「世界収束二一一六」のリリースに合わせて撮影された最新MV「エンディングノート」の公開が決定。その制作現場ではどのようにして映像を作っているのか、ギズモードはMVの撮影スタジオに潜入してきました。

今回amazarashiのMVで使われる最新テクノロジーは、なんと歌う唇の動きまでトラッキングした、世界初となる「顔プロジェクション・マッピング」! 今までは動かない顔の上にしかマッピングできなかったのが(これだけでも大変なのに...)、今回は歌詞に合わせて歌う唇の動きまでをトラッキングして、リアルタイムで顔全体がフェイスマッピングされているんです!


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今回MVが撮影されたスタジオの内部。薄暗い壁に囲まれた部屋の中は、ケーブルやカメラ、プロジェクターが置き場のないほど置かれています。


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スタジオに置かれたベッド上で、フェイスマッピングされる秋田さん。天井にぶら下がるマッピング用プロジェクターの映像以外は全てリアルです。

今回の技術は以前紹介した、映像クリエイター浅井宣通さんのアート作品「OMOTE」が進化した形。

これまでは閉じた口や動かない顔の上に映像をマッピングする方法が限界でした。今回使われたのは、リアルタイムで顔をトラッキングして変化させるプロジェクションマッピング技術を、歌っている秋田さんの唇まで完璧にトラッキングして映像を投影する初の試み。これは日本だけでなく世界でも初めてのチャレンジ!

このフェイスマッピングがどれほどなのか、完成したMVをご覧あれ!



今回MV制作には、テクニカルディレクターでWOWの浅井さん、クリエイティブディレクターには、これまでのamazarashiのMV制作に関わってきた「SIX」の本山敬一さん、映像ディレクターとして「P.I.C.S.」の橋本大祐さんが参加。


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秋田さんはベッドに横になったまま、歌っているんです。その顔に映像が投影されています。


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天井からのプロジェクターからは、秋田さんの顔が2016年で100歳を迎えたという設定で描かれたバーチャルの顔が投影されます。


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そして、MVのクライマックスでは、「エンディングノート」を象徴するかのように、老人となった秋田さんの命が終りを迎えます。


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が、なんと秋田さんの顔が突然溶け始めて、アンドロイドの顔に変化していく壮絶なエンディング! 人だと思っていた自分はアンドロイドだったという、SF映画的な結末が待っていた! 未来を暗示するかのようなストーリーにさらにザワザワ感が高まるよ。


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制作舞台裏の様子


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セットの天井からぶら下がるマッピング用プロジェクターがまた凄い迫力!


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無数のケーブルがつながったメカメカしさと、青白く光る未来感。


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秋田さんに顔の角度の説明をする浅井さん。

浅井さんは、グラミー賞でのレディー・ガガが見せてくれたフェイスマッピングでのコラボレーションを終えて、帰国後真っ直ぐスタジオ入りだったそうです。


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アルバム「世界収束二一一六」


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3月24日(水)リリースされるamazarashiの最新アルバム「世界収束二一一六」には、今回のMV「エンディングノート」に加えて、「季節は次々死んでいく」や「スピードと摩擦」などYouTubeですでに話題を集めている曲が収録された、amazarashi独特の「絶望と希望」の世界観が入り乱れ、溢れ出てくるロックアルバムです。

また10月15日(土)には、幕張メッセのフロア中央にステージを設置して全方位から映像をスクリーンに投影する初のライブ「amazarashi LIVE 360°」が開催決定。

amazarashiのアルバムやライブ演出を体験すると、不思議と湧いてくるのは、「人間」ってなんだろうという疑問。でも未来への希望にも同時に気付かせてくれます。皆さんも映像やCGアニメーションとライブパフォーマンス、歌詞、テクノロジー、あらゆる要素が融合して生み出す音楽体験から、素顔だけでは伝えきれないアーティスティックだけどどこか悲しいamazarashiのメッセージが見えてくるはずです。

アルバム詳細
アーティスト:amazarashi
タイトル:世界収束二一一六
リリース日:2016年2月24日
レーベル:Sony Music Associated Records
ストア:iTunesAmazon
リンク:公式サイトYouTubeFacebookTwitter

トラックリスト
1. タクシードライバー
2. 多数決
3. 季節は次々死んでいく
4. 分岐
5. 百年経ったら
6. ライフイズビューティフル
7. 吐きそうだ
8. しらふ
9. スピードと摩擦
10. エンディングテーマ
11. 花は誰かの死体に咲く
12. 収束

フォーマット:初回限定盤A(ライブDVD/小説/詩集付き、限定5,000枚)、初回限定盤B(オリジナルフィギュア付き)、通常盤


協力:ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
source:amazarashiSIXWOWP.I.C.S.

(Yohei Kogami)

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