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 伝説のジャズトランペット奏者、マイルス・デイビス再び――。映画「ホテル・ルワンダ」での熱演が記憶に残る米国の俳優ドン・チードルが、主演と監督を務めた映画「Miles Ahead」が、ベルリン国際映画祭で上映されました。幼い頃からマイルスの大ファンだったというチードルが、10年以上前から温めていた企画です。記者会見で「クラウドファンディングで資金を集め、ようやく完成にこぎ着けた」と語りました。

 舞台は1970年代後半のニューヨーク。マイルスが健康状態の悪化や私生活のトラブルのせいで活動を休止した時期から、再開するまでを描いています。マイルスの取材を試みようとして逆に彼のペースに巻き込まれるローリング・ストーン誌の記者を、ユアン・マクレガーが演じました。チードルは「単なる伝記映画にはしたくなかった。マイルスの音楽みたいに、爆発するようなエキサイティングな内容にしたかった」と語りました。全編にわたり、マイルスの音楽が流れ、スピード感あふれる物語に仕上がっています。

 チードルは米誌のインタビューで「白人の俳優を出すことが、映画制作にゴーサインが出る必須条件だった」と語っていました。発言の趣旨を確認するために記者が質問をすると、チードルは表情をひきしめました。「黒人だけが出る映画は、海外で売れないと決めつけられています。白人の俳優を出演させることが、この映画の財源を得るためには必須でした。これがビジネスの現実です。それはともかく、ユアンはよくやってくれた。彼のおかげで作品がよりよくなった」