社員のやる気高める昇給は、金額より回数=調査

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ドイツの大学の調査で、社員のやる気を高めるには昇給金額より回数が有効であることが判明した Illustration: Matthew Hollister for The Wall Street Journal

 今年、給料が上がることを期待しているだろうか? もし昇給が2回あれば、あなたはなおさらがんばって働けるかもしれない。

 昇給でいかに社員のやる気が高まるかについて、質より量が勝ることが、ドイツ・ケルン大学の研究で分かった。大学の図書館職員を対象とする調査で、同じ金額の昇給を2段階で受けるほうが、1回だけのときよりも、長期的に見て職員の成績が良いことが判明した。

 2人の同僚とともに報酬構造の違いについて実験したケルン大学のダーク・スリウカ教授(経済学)は、「昇給を受けるという事実でモチベーションが上がる」と話す。しかし、労働者の大半にとって、昇給のポジティブな効果は比較的短期的なものだと続けた。ただ、昇給を分割することで、1年間の昇給の合計金額が同じでも、昇給をありがたく思う回数が増えるという。

 スリウカ教授によると、社員はすぐに昇給後の金額に慣れるため、「昇給の額はそれほど問題ではない」と指摘する。「昨日は多く思えたものが今日は普通に見える」と説明した。

 研究者はケルン大学図書館で蔵書の在庫を整理するために雇われた契約職員の昇給に対する態度について調査した。職員は蔵書にラベルを付けることを求められ、研究者はそれをもとに、報酬構造の違いによって職員が1日にどれだけの数のラベル付けをしたのかを調べた。

 1日6時間労働で、前半3時間には全てのグループで労働量に違いはなかったが、後半3時間には昇給回数が多かったグループの生産性が高かったと、スリウカ教授は述べた。

 そうは言っても、スリウカ教授も大企業の多くが年2回の昇給を採用するとは予想していない。事務作業が増えるので、「企業に(昇給を)分割するよう説得するのはたやすいことではない」との見方を示した。

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