マンガ『ほんとに怖いブラックバイト・大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件』レビュー

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案外ブラックじゃなかった!?マンガ『ほんとに怖いブラックバイト 大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件』レビュー



こんにちはバイトハブ星野です。

近年、アルバイトをする学生が学業に支障をきたすほどの劣悪なアルバイト『ブラックバイト』が注目を集めています。

バイトハブの特集記事で取り上げることもあるのですが、そういったブラックバイトにスポットを当てたマンガがあるということで『これは興味深い!』と思い、早速購入しました。


宝島社の『マンガ ほんとに怖いブラックバイト・大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件』(2014年)です。(タイトル長い・・・)


マンガ ほんとに怖いブラックバイト 大学に通うためにバイトしてるのに、バイトのせいで大学に通えない件

著者:あさいもとゆき、かみやナエこ、斉藤ふみ、たみ、長月まお、やまもとしゅうじ、山本幸男

出版社:株式会社宝島社



帯はこんな感じです。



『悲惨すぎて笑えるブラックバイト15連発』

ということですが、ホントに悲惨なブラックバイトであればきっと笑えないと思うのでちょっと心配。



本の構成としては10ページ程度の短編のオムニバスで、15業種についてのブラックバイト事例が紹介されています。

出てくる業種は

①ファストフード店

②パン工場

③テレビ局

④衣料品店

⑤居酒屋

⑥キャバクラボーイ

⑦コールセンター

⑧コンビニ

⑨イベントスタッフ

⑩ホテル

⑪着ぐるみ

⑫ヘルパー

⑬塾講師

⑭カフェ

⑮引越し業者


で、登場する人物・団体は仮名及び架空のものとされていますが、取材をもとにして再構成しているとのことなので、概ね実態を捉えているのだと思います。


※紹介された業界全体がブラックバイトというわけではなく、ブラックバイト被害者のバイト先がこれらの業界であったということです。


バイトハブでもいくつかの業種は取材したことがありますが、未知の業界もあるので楽しみです。



『ファストフード店』編


数年前特に問題視されていた、ファストフード店での夜勤のワンオペ(1人体制)を取り上げた話です。

1話目だけあって気合入っています。



就活を終えた大学4年生の主人公が卒業旅行に向けてアルバイトをしようと決意。

しかし卒業までの短期間でも雇ってくれるバイト先がなかなか見つからず、そこで『人手不足』と話題になっていた牛丼屋なら採用されやすいのではと思い勢いで応募。


・・・・『飛んで火に入る感が否めない』というのが正直な感想。


さらには


”就活があまりに辛すぎてこれ以上辛いことなんてないだろうと”


と、高を括っていましたが、大人から言わせてもらえば『仕事を舐めるな』です。

これはブラックバイトかどうかということではなく、主人公の『労働』に対する意識に喝!!


です。


さてさて、いざバイトを始めると



十分に仕事を教えられてもいないのに、勤務2日目からワンオペ。

店長、これは良くないです。

事情としては系列店のスタッフ不足でどうしても店長がヘルプに行かなければいけないということらしいのですが、ここに少なくとも2つ問題があると思います。


①時間ギリギリまで系列店の人員を確保していなかった。

作中ではスタッフの急病といった突発的な理由ではなく”実は○○店がこの時間誰も入れないらしくて”と直前までシフトが埋まっていないことを把握していたような印象を受けました。

これが確信犯だとすれば『ワンオペ』ありきの運営ということで、サービスの質の観点でも防犯上の観点でも健全な運営体質とは言えませんね。


②未経験者に十分な研修をせず即戦力として配置した。

私の考えでは、お客さんへのサービスの質を安定させる上では常にスタッフの研修や勉強会を行うべきです。未経験者への研修ならなおさらで、新人といえどもお客さんにとっては一スタッフですから、ある程度のクオリティを担保できるくらいの研修はしたほうがよいでしょう。もちろん現場で学ばせることも必要だとは思いますが。したがって最初は研修期間中の新人は頭数に入れずシフトを組んだほうが良いと思います。新人研修を担当したことがある人ならわかると思いますが、戦力どころか自分の業務に支障が出るので足を引っ張られるといっても過言ではないほどですからね。『教育にお金がかかる』というのはこういった教育係を余分に配置しなければいけないことも含んでいるはず。


個人の飲食店ならスタッフが確保できず臨時休業という選択肢もあるのかもしれませんが、(逆に個人の場合は意地でも営業するか?)フランチャイズ契約の店舗であればもしかしたら勝手に休めないなどの葛藤があるのかもしれませんね。

いずれにせよ『人不足が労働環境を悪化させ、悪い労働環境が人不足を加速させる』悪循環に入っているともうどうしようもないのかもしれませんね。



深夜の激務を一人でこなさなければならないのでトイレ休憩に行けないのはもちろん、サービスも悪化していました。

この勤務の様子をツイートしたら完全にバイトテロ認定ですね。

”お金を触った手を洗わずに調理””落とした肉も3秒ルールで皿に放り込む”というのは当事者のモラルの問題もありますが、仮にそうでないと仕事が回らないほどの激務であればもっとスタッフを配置するか、人がいない時間は閉めるといった手を打つべきなのでしょう。



『パン工場』編


食品製造に限らず、製造ラインのアルバイトは長時間の単純作業がそれなりにツライというのはよく聞きます。が、仕事内容がツライということとブラックバイトは一致しないのでは、というのが正直な意見。内容で判断するしかありません。逆にホントにブラックバイトであれば、新しい発見でもあります。



主人公の設定は『自称コミュ障の引きこもり』。


『ブラックバイトがどうとかの前に、そもそも主人公がクズなのでは』フラグ立ちました。


そして・・・

 


バイトテロです。

ブラックバイトを強いるパン工場もあるかもしれませんが、このお話は

『悲惨すぎて笑えるブラックバイト』ではなく

『悲惨すぎて笑えるバイトテロ』でした。


ちなみに・・・



やっぱりクズだったというオチ。


しかし、大学生たちが『苦労して働く=ブラックバイト』と思っている可能性があるという新しい発見ではありました。

ブラックバイトの定義は『学生が学生らしい生活を送れなくなるアルバイト』のはずですが、もし仮に『汗水流して働くアルバイトはブラックだ』だと思っている学生が増えているのであれば別の危機感も湧きます。




『コンビニ』編


ファストフード店同様、24時間営業の店舗の夜勤についてのお話。

主人公は学費と教習所費用のためにコンビニの夜勤でアルバイトをすることに決めました。

決めゼリフは


”客来なくて寝てれば終わったりして!”


・・・完全に考えが甘い。ブラックバイト被害者とはいえなぜかこういう甘い考えの人には同情できないのは私だけでしょうか。



初日からワンオペ、これはひどいですね。

厳密には店長はバックヤードでスマホゲームをやっているので、運営体制が悪いのではなく店長が悪い。

”習うより慣れろ”

いい言葉だけど、この店長のせいで台無し。

しかしまだこの程度であればブラックバイトというよりは、単純に嫌な上司がいるだけかもしれませんね。



これはひどい。

店長の気持ちがわからなくはないですが、バイトのシフトを勝手に決めるのはダメですね。


そしてこの主人公は、大学や教習所よりバイトを優先する日々に染まっていきましたとさ。



この作中では『シフトが勝手に決められる』『季節商品のノルマ達成のために商品を無理やり買わされる』といった、ブラックバイトの典型的な事例が描写されていましたが、印象としてはどちらかというと『ブラックな店長だなー』です。

コンビニの業務内容としてはいたって当たり前の業務で、お昼のピーク時が忙しいというのも接客業あるあるだと思うので、応募時の


”客来なくて寝てれば終わったりして!”


という考えが甘かったという印象が拭えません。

とはいえ、ブラックな環境が許されるわけではありませんので『シフトが勝手に決められる』『季節商品のノルマ達成のために商品を無理やり買わされる』という悩みをもった学生の方がいるのであれば『断固拒否する勇気』もしくはそもそも『断っていいんだという認識』が必要だと思います。




『着ぐるみ』編


続いて『着ぐるみ』のアルバイト。



サブタイトルの

”見た目ゆるキャラ 中サウナ”


個人的な見解としては『着ぐるみの中が暑いのはブラックバイトでもなんでもないのでは?』です。

ここまでにあった『汗水流して働くアルバイトはブラックだ』というちょっとズレた話かもと心配してしまう。


内容としては、見た目な残念な男性2人が、小さな子供たちや女性にモテたいという動機でキャラクターのアルバイトを始めるというお話です。



目論見通り美味しい目にあっている模様。

キャラクター好きの女性がこれ読んだら価値観が変わるだろうか。


しかしこのあと、女性に囲まれた嬉しさのあまり『ハァハァ』しちゃってメガネがくもるドキモイ描写後、子供たちに全力で暴力を振るわれ控え室で休憩することに。


控え室は窓もカーテンも閉めた密室のため(みなさん、理由はわかりますよね?)



そして、女性客に見つかってしまうというオチ。



これもどちらかというと『ブラックバイトの事例』というよりは『バイトテロの事例』に近いと思います。


しかし、学生アルバイトスタッフがバイトテロの加害者とは言わないまでも自分のミス・過失にも関わらず、『厳しく注意された』ということだけをクローズアップしてブラックバイトの被害者だと思っている事例も少なくない気もしました。

もちろんブラックバイトは許されないと思いますが、仕事である以上学生アルバイトの方もある程度は責任をもって厳しい姿勢で望むべきではないでしょうか。

しかし今では中高生の運動部でのペナルティダッシュについても賛否様々なくらいですから、それらが当たり前であった世代の感覚ではいけないのだろうか。



『ヘルパー』編


最近、老人ホームでの転落死が問題にもなったヘルパーの仕事についてのお話です。

老人ホームなどの宿泊型介護施設の夜勤は14~16時間の勤務の場合(120分休憩含む2日分の労働)も多く、体力的にキツイ仕事と言われています。そうした理由からか人手不足になりやすく、ファストフードやコンビニの夜勤のように悪循環になりやすいとも言えるでしょう。


ちなみに通常夜勤明けの日はもう出勤しないのですが、人手不足が常態化している職場では夜勤明けの数時間後には出勤しなければいけないそうです。仮に学生アルバイトスタッフがそのような労働を無理に強いられているのであればブラックバイトだと言って良いでしょう。ただし夜勤にガンガン入るとそれなりに稼げるので、夜勤を歓迎する人もいるそうです。とはいえ自ら希望する場合も体を壊さないようにはして欲しいですね。


で、この作中ではそういった介護業界で起こりうるブラックバイトの描写はありませんでした。

主人公は、お年寄りにちょっとしたことで喜んでもらえる介護の仕事をやりがいに感じて週3日間夜勤バイトをしています。

それなりの重労働の介護バイトでも、喜んでくれる人がいるからがんばれていたのですが



実は利用者の方が亡くなった方がその家族は喜んでいた、という現実を目の当たりにして実は自分のやりがいを既に見失っていたというお話。

介護に疲れた家族にとっては『いっそ亡くなった方が楽なのに』というのは仮に思ったとしてもあまり言うべきではない事案なだけに、ある意味目を背けがちなテーマにメスを入れたという意味では斬新だと思いました。が、それがブラックバイトというわけではないので、もう少し労務面がブラックな事例を取り上げて欲しかったです。




『塾講師』編


大学1年生の主人公は”今後の社会勉強と生活費の足しになる”と時給の良い塾講師バイトを始めます。

高校生の英語か古文を希望するも、担当は小4・5年生。

いざ授業を始めると


 


これは小中学生あるあるですね。

ちなみに学習塾で1校舎の責任者の経験がある私の意見としては、生徒の質は社員の質によって決まるので、いい加減な生徒が多い学習塾であれば社員がいい加減な講師である可能性が高い(統制の取れる厳しい先生の下にはやんちゃな生徒が集まりにくい、もしくはある程度やんちゃな生徒もある程度従う)のでそういった意味でブラックバイトのリスクがあると言えます。(上のコンビニの事例の店長のような)



最近何かと話題になるコマ給問題の描写も1~2コマありました。ただし2014年の出版物とだけあってか今ほどクローズアップされていないような印象も受けます。


全体を通して『子供の相手が疲れる』ということと『退会者が多いと本部が厳しく追及する』ということにスポットが当たっている印象。いずれも直接的にはブラックバイトには当たらないでしょう。

塾業界であれば『1コマ○○円』という授業1コマの給与にその前後の業務を全て含めるという不当な労働を強いるブラックバイト塾がニュースに取り上げられることも少なくないので、次回作ではそういった一部の学習塾のブラックな実態を期待したいですね。




『引越し業者』編


最後は引越し業者のお話。引越し業者といえば昨年末に世間を騒がせましたね。

主人公はラグビー部を引退した学生で、これまで部活一筋の自分を支えてくれたマネージャー兼彼女のために引越しバイトをするのですが、


『マネージャー兼彼女』というリア充設定に若干の嫉妬。


勤務初日、早朝からエレベーターのないビルの4階から100箱程度の書類入りダンボールを運び早くも体力の限界。

そんな中、家具を運んでいると



これはブラックバイトと呼んでいいのだろうか。違う意味でアウトな気がしますが、いわゆるブラックバイトではない気がします。

この上司のキャラは個人的に好きではあるのですが、アルバイトスタッフの過失に鉄拳制裁は今の時世許されませんね。

ちなみに家具の傷は依頼主の飼い猫の仕業で完全に濡れ衣でした。



体力の限界を超えた主人公。

ラグビー部で鍛えた肉体でも引越しバイトはきついんですよね、使う筋肉が違うから。

ちなみに『体力的にしんどい=ブラックバイト』ではないので悪しからず。



なんとなくノリを楽しんでいる印象も受けます。体育会系出身の方ならそのノリがわかるかもしれませんね。



結局主人公は初日の勤務だけで根を上げたという結末ですが、ブラックバイトならではの不当な労働を強いるという描写はありませんでした。

仮に鉄拳制裁がブラックに該当するとしても、給与面や労働時間面などの実態に迫って欲しいというのが正直な感想です。

これでは『疲れる仕事=ブラックバイト』という間違った認識を持つ人も出てしまう可能性があると感じました。






全15話のうち厳選して紹介しましたが、全体的な印象としてブラックバイト根絶に向けてその実態を広める内容というよりは、『労働なんてやめちまえ』というプー太郎を助長する内容だった気がします。


一応個人的な判断ですが、

『賃金未払』

『不当な労働時間』

『強制ノルマ』

『不当な誓約書』


などを基準としてブラックバイトの事例とそうでない事例とで分けると

※あくまでこのマンガの中で取り上げられた事例がブラックかどうかです。実際の業界全体について言及するものではありません。



ブラックバイトの事例

①ファストフード店

④衣料品店

⑥キャバクラボーイ

⑧コンビニ

⑩ホテル

⑬塾講師

⑭カフェ



ブラックバイトでない事例

②パン工場

③テレビ局

⑤居酒屋

⑦コールセンター

⑨イベントスタッフ

⑪着ぐるみ

⑫ヘルパー

⑮引越し業者


でした。

ブラックバイトでない事例も、その業種ならではの大変な側面を知る機会ではありましたが。

ただ、そういった働くことの大変さを全て『ブラックバイト』と決めつけるべきではないと思いますので、次回作ではもっとブラックたる実態に迫る内容を期待したいですね!

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