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認知症の鉄道事故訴訟、関連団体が見解- 最高裁判決を前に
認知症の男性が徘徊中に列車にはねられて死亡した鉄道事故訴訟について、ソーシャルワーク教育団体連絡協議会と社会福祉専門職団体協議会は22日、3月に予定されている最高裁の判決に向けた見解を公表した。見解では、認知症の人の意思を尊重し、住み慣れた地域で暮らし続ける社会の実現を目指す「新オレンジプラン」を取り上げ、「理念を後退させないことを強く望む」としている。【新井哉】
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2007年12月に認知症の男性(当時91歳)がJR東海の線路内に入り込み、列車にはねられて死亡した事故の訴訟をめぐっては、1審の名古屋地裁が妻と長男に約720万円の支払いを命じた。2審の名古屋高裁では、同居する夫婦には民法上の協力扶助義務があり、一方が自立した生活を送れなくなったりした場合には、他方が監督義務者になるとして、妻に約360万円の賠償を命じていた。
この1審・2審判決について、ソーシャルワーク教育団体連絡協議会などは、「家族が在宅で介護することを忌避し、入院や入所を促進してしまう」と指摘。「国を挙げて『地域包括ケア』を推進し、さまざまな施策を展開している中にあって、その理念に逆行する判決を容認することはできない」と批判している。
また、認知症の人の増加とそれに伴う支援は、国民的課題として考えなければならない「社会問題」と指摘。「いまだ介護の社会化がなされていない日本の実情」と「行政や政治の制度構築の怠慢」を司法が正すべきだとしている。
このような鉄道事故についても、家族や介護者、成年後見人、介護事業者などが努力しても「完全に防ぐことはできない」とし、事故が起きた場合でも認知症の人とその家族を公的に保障する仕組みを視野に入れ、社会全体で議論を深める必要があるとしている。
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