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「VLC PlayerでDVDを見たら違法」となる恐れも、TPPに伴う著作権法改正で

 一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)は、TPP協定に伴う著作権法改正に関して文化庁に提出した意見書を公表した。DVDやデジタル放送などに用いられているアクセスコントロール機能を回避する行為じたいを著作権法で規制することがTPPで求められていることに関して、「国民の情報へのアクセスや表現の自由の毀損につながる恐れがある」と指摘。権利者に不当な不利益を及ぼさないようなアクセスコントロール回避行為のうち、下記のような行為については例外規定として盛り込むよう求めている。

  • オープンソースソフトウェアなどを用いた情報アクセスのための回避行為
    - LinuxやVLC PlayerでのDVD/Blu-ray視聴
  • 視聴を目的とした複製のための回避行為
    - DLNAなどのネットワーク経由での視聴
    - スマートフォンやタブレットでの視聴
  • 引用や批評、二次創作を目的とした回避行為
  • テレビ放送、DVDやBlu-rayのキャプチャ
  • 機器やソフトウェアの安全性チェックを目的とした回避行為
  • ユーザーが自分の機器で自由なソフトウェアを動作させるための回避行為
    - jailbreakingやrootingのような管理者権限取得行為
  • 技術の互換性や相互運用性を保つための回避行為
  • 解除技術が提供されなくなったコンテンツやソフトウェアを利用するための回避行為
  • 不正告発のための回避行為
MIAUの意見書(一部)

 MIAUによると、日本の現行の著作権法にあるアクセスコントロール回避規制は、あくまでもアクセスコントロールを回避して行う「複製」に対してのもの。例えば「DVD Decrypter」を使い、DVDのアクセスコントロールを回避してMP4ファイルなどに書き出すことは複製を伴う行為であり、私的目的の複製として認められる範囲からは除外されており、違法とされている。いわゆる“DVDリッピング違法化”として、2012年の著作権法改正で追加された規制だ。

 これに対し、「VLC Player」を使ってDVDを視聴することは、複製ではないために違法とはならない。また、現行の著作権法では、著作物を見たり聞いたりする行為そのものは規制できないという。著作権の分類の中に、それに対応する支分権(複製権、演奏権・上演権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権など)は設定されていないためだ。すなわち、アクセスコントロールを回避する行為じたいは支分権侵害には該当しない。

 しかし、TPPでは、そうした支分権が存在しないにもかかわらず、アクセスコントロールを回避する「行為」を規制することが盛り込まれており、複製を伴うかどうかは問わない「単純回避規制」となっている。

 「このままだと、VLC PlayerでDVDを見ることは、正式にライセンスされていないdeCSSを使ってアクセスコントロールを回避することになるため、規制の対象になる。つまり、VLC Playerを使ったDVD視聴行為は著作権法違反になる。」(MIAU)

 一方でTPPでは、「著作物等の利用を管理する効果的な技術的手段(アクセスコントロール)に関する制度整備については、研究開発など一定の公正な目的で行われる、権利者に不当な不利益を及ぼさないものが制度の対象外となるよう、適切な例外規定を定めること」としている。

 MIAUでは、DVDをVLC Playerで見るなどは「権利者に不当な不利益を及ぼさないもの」であると主張。現在、TPPに伴う著作権法改正の制度整備のあり方について議論している文化庁の文化審議会に対して、上記のような「権利者に不当な不利益を及ぼさない」行為について、アクセスコントロールの単純回避規制の例外規定として明確に設けるよう求めたかたちだ。

 意見書ではこのほか、TPPに伴う著作権法改正の項目が権利保護の強化につながるものばかりであるという点を踏まえ、著作物の利用を促進する側面での規定も国内立法で同時に整備する必要があるとも指摘。フェアユース(権利制限の一般規定)の導入を訴えている。

(永沢 茂)