新幹線のセキュリティー強化や犯罪抑止を目的に、JR東海は23日、全国の新幹線で初めて客室内を防犯カメラで常時録画する列車の運行を始めた。当初は東海道・山陽新幹線を走る1編成のみだが、2017年度末には同社が所有する車両の9割で客室内を録画するようになる。乗客のプライバシー保護が課題だが、同社は「録画した映像は、使用目的や扱う社員を限定し、厳重に管理する」としている。
昨年6月の東海道新幹線放火事件などを受けた安全対策の一つ。
5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や20年東京五輪・パラリンピックも控えており、JR東海新幹線鉄道事業本部の中村明彦管理部長は「引き続き警察などと協力し、安心して利用してもらえるよう必要な対応を取っていく」と述べた。
JR東海によると、23日に運行を始めたのは新造車両で、客室内の前後のドア上付近に設置したカメラから常時録画。カメラ脇には「防犯カメラ作動中」と記したステッカーを貼った。
客室外のデッキ通路部分にもカメラを増設、従来の1編成60台から105台に増えた。既存車両も、一部の古い車両を除き改造して増設する。
JR西日本も16年度以降、東海道・山陽新幹線を直通して走る車両の客室内に、同様のカメラを設置する予定。
JR東日本は、所有する新幹線車両のうち、約半数の客室に既にカメラを設置している。現在は非常ボタンが押された後に作動させているが、今後、常時録画するシステムに改修し、未設置の車両の一部にも新設する。
JR北海道は、来月開業する北海道新幹線の車両に、JR東と同様のシステムを取り入れる方針。JR九州も導入を検討している。〔共同〕
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