準備は万端?
提出期限直前!ミス無く確定申告を終えるために押さえておくべき12のチェックリスト
毎年恒例、確定申告のシーズンがやってきました。平成27年分の確定申告の時期は、平成28年2月16日~3月15日。そろそろ重い腰を上げて手続きをしなくては……と思っているフリーランサーも多いのではないでしょうか。
青色申告、白色申告ともに、申告前に注意すべきポイントは共通しています。そんなポイントを抽出し、12のチェックリストにしました。また、税務署の窓口で申告書類を作成したいという人も多いはず。そんな人向けに、持ち物リストも用意してあります。
最後に申告期限を過ぎてしまった際の対処法とペナルティについても紹介します。いざというときに役立ててください。
■見落としていませんか? 確定申告前のチェックリスト
<決算の準備>
青色申告では取引を1件ごとに記入し、現金取引と預金取引とで別の帳簿を用意する必要があります。一方の白色申告では、1日当たりの売り上げや経費をざっくりとまとめて書き留めていく程度の記帳を求められます。いずれにせよ、確定申告をするフリーランサーには、帳簿書類の保存が義務付けられています。
ここでは、経費や売り上げをまとめる決算の準備に必要なポイントをおさらいします。
青白双方 ①1年間で使った必要経費の領収書、すべて経費に組み込んでいますか?
せっかく集めた領収書なのに、経費に入れ忘れているものがあったらもったいない! 財布のなかやカバンのなかに領収書が残っていませんか? 帳簿につけ忘れている領収書がないか、今一度チェックしてみましょう。
青色申告 ②現金出納帳にマイナスはありませんか?
現金出納帳がマイナスになったということは、無い現金を使って買い物をしたということ。そんなことは物理的にありえません。事業用現金がマイナスになる前の日付で「事業主借」として入金をしておく必要があります。
青色申告 ③売掛帳はマイナスになっていませんか?
売掛金(作業代、ギャラなど)の計上と回収のバランスが取れていることを確認してください。差し引きゼロになっているのが正しい姿です。もしも未回収金があったら、すぐに取引先に確認しましょう。なお、年末に行った仕事に対する回収が年度をまたぐ場合、会計ソフトで更新処理をすれば翌年度の開始科目残高に繰り越されます。
青白双方 ④帳簿(青色申告の場合は総勘定元帳)に不自然な数字はありませんか?
ついついやってしまいがちなのが、ゼロがひとケタ多かった、少なかったなどといったケアレスミス。決算前にじっくりと確認して、データの修正をしておきましょう。
青白双方 ⑤固定資産の登録と減価償却費の計上をしていますか?
10万円を超えるパソコンなどを購入した場合、固定資産として登録をする必要があります。白色申告の場合は耐用年数に応じた減価償却費を計上。青色申告の場合は、耐用年数に応じた減価償却費を計上する方法のほか、取得価格が30万円未満の減価償却資産は即時償却することも可能です。
<申告書の準備>
1年間の収支の決算が終わったら、いよいよ申告書の記入です。申告書には添付書類や準備しておくと便利な書類がいくつかあります。それぞれを説明しながら、注意すべきポイントを挙げていきます。
青白双方 ⑥支払調書はもらっていますか?
実は、確定申告書に支払調書を添付する義務はありません。税務署によっては支払調書を添付するようにと指導する署員もいますが、本来は添付しなくてもOKです。ただし、特に白色申告の人で帳簿管理に自信がない人は、支払調書をもらっておいたほうが申告書を書きやすいというメリットもあります。取引先が複数にわたる場合は、すべての取引先からもらっておきましょう。
青白双方 ⑦取引先が複数にわたる場合、所得の内訳書は作りましたか?
所得の内訳書も添付義務のある書類ではありません。しかし、取引先が複数にわたる場合(支払調書が複数ある場合)は、あらかじめ作っておくと申告書が書きやすくなります。管轄税務署によっては提出を求められる場合もあります。
青色申告 ⑧青色申告決算書(4枚つづり)は作りましたか?
多くの会計ソフトでは、自動的に計算し、確定申告用の提出用紙に直接印字することが可能です。間違いのない書類を作るために、<決算の準備>に書いたチェックリスト①から⑤までを完璧にしておきましょう。
白色申告 ⑨収支内訳書は作りましたか?
1年間の総収入とかかった経費のすべてを記入する書類です。集めた領収書は、この書類の経費の欄に分類して書き込みましょう。
青白双方 ⑩国民健康保険や国民年金の支払い証明書、生命保険の支払い証明書はありますか?
社会保険料控除、および生命保険料控除の対象になります。郵送されてきた支払い証明書は絶対になくさないように!
青白双方 ⑪社会保険料や生命保険料以外の控除の可能性はありませんか?
年間医療費が10万円以上かかった、災害や盗難にあった、配偶者や扶養家族がいるなどの場合は、所得控除の対象になります。また、住宅ローンを組んでいる場合も税額控除の対象になります。
青白双方 ⑫提出書類に捺印していますか?
パソコン上で書類をつくった場合でも、捺印は絶対に必要。これを忘れただけで、書類を受け取ってもらえません!
エピソード
申告書類に捺印を忘れたまま税務署へ。時間を作ってせっかく行ったのに提出できず、翌日もう一度出向く羽目に……。
■もう時間がない!受付窓口で申告書を完成させるなら?(白色申告の人向け)
会計ソフトを使って申告書を作成する人は、決算までをしっかりと行えば、あとはソフトが提出書類を作ってくれます。しかし、今年が初めての確定申告だという人や、白色申告なので会計ソフトを導入していないという人のなかには、専門家のアドバイスを受けながら申告書を作りたいという人も多いのではないでしょうか。
各税務署や確定申告書の受付会場には、相談に乗ってもらいながら書式を完成させ、提出することができる場があります。ただし、申告期間は大混雑! 後半になればなるほど、激しく混み合います。もしも申告書をその場で完成させるつもりであれば、これだけは忘れずに持っていきましょう。
・支払調書(複数から仕事を受けている場合は、すべての調書を持参)
・経費の内訳書(提出するわけではないので書式は自由。「旅費交通費に○円かかった」など、
自分が分かればそれでOKです)
・国保と国民年金の支払い証明書、および生命保険の支払い証明書
・その他の控除の可能性がある場合、それに関する書類
・還付金振込口座番号の控え(振り込んでほしい金融機関のキャッシュカードか通帳)
・認め印(忘れると書類を受け付けてもらえません。数字の訂正印としても使えます)
・ボールペン、のり、ホチキス、電卓(文具は会場でも貸してもらえますが、
激混み状態のなかでは借りられない可能性も。マイ文具一式と電卓を持っていきましょう)
■もしも確定申告期限を過ぎてしまったら?
確定申告期間を過ぎてしまった場合のペナルティは、還付申告の場合と、納税申告の場合で変わってきます。
還付申告(納め過ぎた税金を還付してもらうための申告)の場合
還付申告書は、確定申告の期間とは関係なく、課税対象年の翌1月1日から5年間提出することができます。ただし、5年を過ぎると申告することはできません。還付金をもらうこともできなくなります。
また、青色申告の場合は、確定申告期間内に提出しないと65万円の青色申告特別控除(複式簿記をつけた場合)が受けられないというペナルティが発生します(簡易簿記をつけた場合の10万円のみ受けられる)。控除額55万円の差は大きいです。
納税申告(税金を納付するための申告)の場合
所得税法においては、確定申告の期間内に申告を行い、所得税を納付しなければペナルティが発生します。納税が遅れると、遅れた日数分の延滞税(年利最高14.6%)が課せられるほか、場合によっては最高20%の無申告加算税も課せられる可能性があります。
たとえ申告期限を過ぎてしまったとしても、できるだけ早く申告してください。申告が遅くなればなるほど、税制上の不利が大きくなります。
そのほか、納税の不備や隠ぺいが発覚した場合に追加で支払う税金があります(過少申告加算税、重加算税、不納付加算税など)。
一度申告書を提出したものの、確定申告期間中に数字の誤りに気付いた場合は、後に出した書面が正式な申告書として取り扱われます。なるべく早く対処しましょう。
【まとめ】
フリーランサー最大のイベントともいえる確定申告。納め過ぎた所得税の還付申告の場合は、確定申告期間を待たずとも、課税対象年の翌1月1日から申告することができます。
毎年確定申告の時期にバタバタと忙しい思いをしてしまう人は、次回からは年末年始のお休みを利用して準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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