野々村被告、第2回公判でも「記憶にございません」「聞こえませんポーズ」

2016年2月23日6時0分  スポーツ報知
  • 第2回公判で「最後の言葉が聞こえなかったので、もう一度お願いします」などと要望。検察官が右側に回り対応した

 日帰り出張を繰り返したなどとうその収支報告書を提出し、政務活動費約913万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた“号泣県議”こと元兵庫県議・野々村竜太郎被告(49)の第2回公判が22日、神戸地裁(佐茂剛裁判長)で開かれた。先月26日の初公判に続き、被告人質問ではまたも「記憶にございません」を連発。2014年7月の号泣会見で見せた、耳の後ろに手をあてる「聞こえませんポーズ」を披露したり、質問する検察官の立ち位置を移動させる一幕もあった。4月25日に結審する予定。

 神戸拘置所に約1か月間勾留されている野々村被告は、スーツにメガネ、スキンヘッドで入廷した前回から一転、黒のジャージー姿で後頭部は髪の毛が生えそろい、鼻の下からあごへかけてヒゲは伸びたまま。元県議と思えない風貌で出廷した。

 初公判で左耳の不調を訴えていた野々村被告は「精神状態によっては、右耳に集中しないと、言葉の意味や趣旨が理解できない場合がある」と告白。検察の質問のたび、右耳を向けるようにして首を検察側の左にひねった。質問した検察官自身が野々村被告の自宅で取り調べをした時の記憶を求めると、「右耳を集中させますのでもう1回お願いします」と、一昨年の号泣会見でも話題になった右手を右耳の後ろに添えるポーズを披露。検察官は「右に移動しますから、その格好は結構です」とピシャリ。野々村被告の右隣に回って質問を続けるなど、振り回される形になった。

 前回、90回以上「覚えていません」などと繰り返したが、この日も「記憶にございません」「分かりません」といった答えを約30回連発。検察官から「前回公判の後、思い出す努力をしたか」と問われると、「病気のため医師の診断を受けている。努力したとか努力しなかったとか、そういう次元のことではありません」。ただし、弁護側が前回公判で提出する意向を示していた「記憶障害」の診断書は、出されなかった。

 うその収支報告書の作成過程についてはこの日も「具体的作業の記憶が全くない」と繰り返すのみ。しかし一昨年11月に提出された反省文が検察官に読み上げられ、そこには「収支報告書に虚偽の内容を記載して提出し、政務調査費、政務活動費という公金を詐取しました」と、罪を認める内容が記されていた。野々村被告は前回、「反省すれば許してもらえると思った。反省文はうそ偽りで後悔している」と主張していたが、佐茂裁判長はこの日、反省文を証拠として採用した。

 公判は約1時間20分で終了。前回よりは落ち着いた様子で号泣寸前にも至らなかったが、検察の取り調べについては「平成27年7月13日に押収されたICレコーダーに(音声が)全て残っていると思います」などと不信感たっぷりに話し、「記憶にない」とは裏腹の鮮明な記憶を訴えた。

 4月25日の次回公判では、検察側が論告求刑し、弁護側の最終弁論や野々村被告本人の最終意見陳述を経て結審する見通しだ。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
社会
今日のスポーツ報知(東京版)