「買ってくれる客に対応するのは当然」

 1月27日、東京・銀座三越の8階に空港型免税店がオープンした。訪日外国人客をターゲットにした専用フロアである。

「あの銀座の老舗百貨店までもが・・・」という嘆きの声も聞こえてくるが、前出のマーケティング専門家は「ビジネスである以上、買ってくれる客に対応するのは当然」という。ひいてはそれが今の日本経済の下支えになるというわけだ。

 2015年、訪日外国人客が日本滞在中にもたらした旅行消費額は3兆4771億円になった。日本の定住人口1人当たりの年間消費は125万円だという。単純計算だと、日本人280万人分の消費額に匹敵する。

 そして、その旅行消費の多くを占めるのが中国人客による買い物である。2015年の中国人客の消費額は1兆4174億円となり、旅行消費額全体の4割にまで膨らんだ。

 ここ数年で、一国の経済がここまで「訪日外国人客」の影響を受けるようになったのは、まったく想像もつかなかった変化と言ってよい。訪日外国人客の消費で国を維持していく――いよいよ覚悟を決めなければならない時代が到来したのだろうか。