真由美さんはハワイとの違いを教えてくれた。ハワイでは、外国人観光客は居住者よりもずっと高い値段で買い物をしなくてはならない。ハワイとしては、裕福な外国人観光客には高く買ってもらい、お金をたくさん落としてもらおうというわけだ。日本は逆だ。「外国人を対象にした過度な割引や優遇などのサービスが目につきます」

 そうした日本の過剰な「おもてなし」に真由美さんは否定的だ。「それは本当に必要なことなんでしょうか。免税なんかにしなくても、訪日外国人客は日本で買い物をするはずです」。確かにハワイでの買い物が割高だったとしても、ハワイの魅力が失われるわけではない。ハワイには買い物だけではないたくさんの魅力があり、観光客はそれに引かれてやって来る。

 最近、筆者の周りでは、このように「日本の『おもてなし』はやりすぎなのではないか」という声が聞かれるようになった。

 丸の内のオフィスに勤務し、海外旅行が趣味の田村朋子さん(仮名)も同様の意見だ。外国人観光客のために特別な割引をする必要はないという。「私が海外旅行するとき、旅先で割引に期待することはほとんどありません。基本的に外国人と分かれば吹っかけられますから、予想外の出費をするのは覚悟の上です。せめてその国の国民と同じ価格で買い物ができれば満足です」

肩身が狭い日本人買い物客

 今、東京の高級ブランドの店では日本人の買い物客の肩身が狭くなるという現象が起きている。中央区在住の女性がこう語る。

「店員は爆買いの接客にてんてこ舞い。銀座のデパートやブランド店では以前のような優雅な買い物はできなくなりました。