昭和初期の刑務所映像 京都、落成式を撮影
京都市山科区の京都刑務所で1931(昭和6)年3月28日に行われた落成式の映像がこのほどデジタル化された。式の様子や祝宴での芸妓舞妓らによる踊りなどが撮影されており、同刑務所は「昭和初期の刑務所を撮影した映像は珍しく、資料価値が高いのでは」としている。
映像は16ミリフィルムに記録されていた。50周年の81年に貴重な記録を後世に引き継ぐためとして複製されたが、しばらく存在は忘れられていた。このほど見つかって昨年8月にデジタル化した。オリジナルフィルムは見つかっていない。
約1時間で、音声はない。最初は刑務所職員に出迎えられる来賓の姿が続き、落成式の場面では関係者のあいさつや記念撮影の様子が写されている。
式後の祝宴には、芸妓や舞妓が踊りを披露、胸にリボンを付けた出席者とみられる男性らによる余興が収録されている。
当時の記録はほとんど残っていないが、31年3月29日付の京都日日新聞は「京都刑務所の盛大な竣工(しゅんこう)式」との見出しで報じている。司法大臣の祝辞を代読した行刑局長や京都帝国大の新城新蔵総長、現在の高裁に当たる控訴院の院長らが出席して祝ったという。
これ以前、京都刑務所は二条城近くにあったが、老朽化などを理由として27(昭和2)年に現在地へ移転し、建設工事は31年に終わった。当時は珍しい鉄筋コンクリート造りだった。
86年から順次、改築工事が行われて2001年に現建物が完成した。
映像は京都矯正展などの催しや見学者が来た際に上映している。
【 2016年02月19日 11時30分 】