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「被爆地域」外にいた人 一部を被爆者と認める 長崎2月22日 14時38分
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長崎に原爆が投下された際、国が定める被爆地域の外にいたとして、被爆者と認められていない人たちが訴えた裁判で、長崎地方裁判所はこのうち10人を被爆者と認め、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を命じる判決を言い渡しました。長崎の被爆地域の外にいた人たちに被爆者健康手帳の交付を命じた判決は初めてです。
長崎に原爆が投下された際、国が定める被爆地域の外にいたとして、被爆者と認められていない人たちのうち、爆心地から半径12キロ以内にいた人は「被爆体験者」とされ、長崎市などに住む「被爆体験者」161人は、長崎県と長崎市に対し、がんなどの治療を無料で受けられる被爆者健康手帳を交付するよう訴えていました。
22日の判決で長崎地方裁判所の松葉佐隆之裁判長は、「WHO=世界保健機関がまとめた福島第一原発事故の健康リスク評価に関する報告書などを踏まえると、原爆投下で被爆した放射線の年間の積算線量が、自然放射線の線量の10倍を超える25ミリシーベルト以上の場合は、健康被害を生ずる可能性があると言える」と指摘しました。そのうえで、「アメリカ軍が長崎で行った放射線量の調査で年間の積算の放射線量が25ミリシーベルトを超えると推定された地域にいた人たちは原爆による影響を受けたと認められる」として、原告のうち10人を被爆者と認め、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を命じました。
厚生労働省によりますと、国が定める「被爆地域」の外にいたとして、被爆者と認められていない人たちが訴えた裁判では、広島地方裁判所が平成21年、広島の被爆地域の外にいた7人に被爆者健康手帳の交付を命じ、判決が確定しましたが、長崎の被爆地域の外にいた人たちに被爆者健康手帳の交付を命じた判決は初めてです。
今回の判決について、厚生労働省は、「判決の内容をまだ、詳細に承知していないが、今後の対応については、関係省庁や、長崎県、長崎市と協議したうえで決めたい」と話しています。
長崎県の中村知事は、「判決の詳細は把握していないが、基本的には、県と長崎市の主張が認められ、一部原告の主張が認められたと承知している。今後の対応については、判決を詳細に検討し、国や長崎市とともに協議のうえ決めていきたい」とするコメントを出しました。
長崎市の田上市長は、「判決の具体的な内容を確認していないので、コメントは差し控えさせていただきます」としています。
22日の判決で長崎地方裁判所の松葉佐隆之裁判長は、「WHO=世界保健機関がまとめた福島第一原発事故の健康リスク評価に関する報告書などを踏まえると、原爆投下で被爆した放射線の年間の積算線量が、自然放射線の線量の10倍を超える25ミリシーベルト以上の場合は、健康被害を生ずる可能性があると言える」と指摘しました。そのうえで、「アメリカ軍が長崎で行った放射線量の調査で年間の積算の放射線量が25ミリシーベルトを超えると推定された地域にいた人たちは原爆による影響を受けたと認められる」として、原告のうち10人を被爆者と認め、長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付を命じました。
厚生労働省によりますと、国が定める「被爆地域」の外にいたとして、被爆者と認められていない人たちが訴えた裁判では、広島地方裁判所が平成21年、広島の被爆地域の外にいた7人に被爆者健康手帳の交付を命じ、判決が確定しましたが、長崎の被爆地域の外にいた人たちに被爆者健康手帳の交付を命じた判決は初めてです。
今回の判決について、厚生労働省は、「判決の内容をまだ、詳細に承知していないが、今後の対応については、関係省庁や、長崎県、長崎市と協議したうえで決めたい」と話しています。
長崎県の中村知事は、「判決の詳細は把握していないが、基本的には、県と長崎市の主張が認められ、一部原告の主張が認められたと承知している。今後の対応については、判決を詳細に検討し、国や長崎市とともに協議のうえ決めていきたい」とするコメントを出しました。
長崎市の田上市長は、「判決の具体的な内容を確認していないので、コメントは差し控えさせていただきます」としています。
原告 「一部勝訴」に複雑な表情
判決が言い渡されたあと、原告の弁護士は長崎地方裁判所の前で「一部勝訴」と書かれた旗を掲げました。裁判所の前には原告や支援者が集まり、原告全員に被爆者健康手帳の交付が命じられなかったことについて複雑な表情を浮かべていました。原爆が投下されたとき、爆心地の東、10.2キロにいたという原告団長の山内武さんは今回の判決で訴えが退けられました。山内さんは「非常に残念だ。爆心地から南北12キロ以内では被爆者と認められているので、同心円の中にいた人すべてをひとしく被爆者と認めてほしかった。これからも訴えを続けていく」と話していました。
判決のあと、原告や支援者らが長崎市で記者会見を開き、弁護団の三宅敬英弁護士は「被爆者と認められる範囲を広げたという点ではよかった。しかし、判決では内部被ばくについて認めていないなど悔しい点が多い。高裁での勝訴を目指したい」と述べ、控訴する考えを示しました。
また、原告全員が健康への被害を受けるほどの放射線の影響を受けたとする意見書を作成した長崎県保険医協会の本田孝也医師は「意見書の内容が十分に伝わらなかったのは残念だ。被爆者と認めるために、そもそも線量による線引きが必要なのかという原点に戻って引き続き訴えていきたい」と話していました。
判決のあと、原告や支援者らが長崎市で記者会見を開き、弁護団の三宅敬英弁護士は「被爆者と認められる範囲を広げたという点ではよかった。しかし、判決では内部被ばくについて認めていないなど悔しい点が多い。高裁での勝訴を目指したい」と述べ、控訴する考えを示しました。
また、原告全員が健康への被害を受けるほどの放射線の影響を受けたとする意見書を作成した長崎県保険医協会の本田孝也医師は「意見書の内容が十分に伝わらなかったのは残念だ。被爆者と認めるために、そもそも線量による線引きが必要なのかという原点に戻って引き続き訴えていきたい」と話していました。
「被爆体験者」 集団訴訟に至った経緯は
「被爆体験者」は、原爆が投下されたとき、国が定める被爆地域の外にいた人たちで、被爆者と認められた人たちと同様の援護の施策を求めてきました。
国が定める長崎の被爆地域は、長崎市の爆心地を中心に南北およそ12キロ、東西およそ7キロの範囲で、原爆が投下されたとき、この中にいた人には被爆者として被爆者健康手帳が交付され、無料で医療を受けられるほか、健康管理手当などの手当が支給されています。
一方で、原爆が投下されたとき、被爆地域の外にいた人たちには被爆者に対する援護の施策が行われなかったため長崎市などが国に働きかけた結果、平成14年、長崎で独自に「被爆体験者」の制度が始まりました。
「被爆体験者」がうつや不眠症など、原爆の体験によるとみられる精神的な症状やそれに伴う合併症を発症した場合、医療費が支給されています。長崎県や長崎市によりますと「被爆体験者」は1月末の時点で県内におよそ8000人いるということです。
しかし、「被爆体験者」は「原爆の放射線による直接的な身体への影響は認められない」として、がんなどの病気になっても医療費や手当などが支給されないため、平成19年から国などに対し、被爆者と認めるよう求める集団訴訟を起こしました。
一連の訴訟の原告の数はおよそ550人に上り、このうち、先行しておよそ400人が訴えた裁判では長崎地方裁判所が平成24年に訴えを退け、2審の福岡高等裁判所の判決は来月28日に言い渡されます。
一方、長崎市は、「被爆体験者」の要望を受けて、3年前から専門家による研究会を開き、科学的な知見をもとに被爆地域の拡大を目指そうとしているほか、去年には、田上市長が厚生労働省に被爆地域の拡大や支援の充実を求める要望書を提出しています。
国が定める長崎の被爆地域は、長崎市の爆心地を中心に南北およそ12キロ、東西およそ7キロの範囲で、原爆が投下されたとき、この中にいた人には被爆者として被爆者健康手帳が交付され、無料で医療を受けられるほか、健康管理手当などの手当が支給されています。
一方で、原爆が投下されたとき、被爆地域の外にいた人たちには被爆者に対する援護の施策が行われなかったため長崎市などが国に働きかけた結果、平成14年、長崎で独自に「被爆体験者」の制度が始まりました。
「被爆体験者」がうつや不眠症など、原爆の体験によるとみられる精神的な症状やそれに伴う合併症を発症した場合、医療費が支給されています。長崎県や長崎市によりますと「被爆体験者」は1月末の時点で県内におよそ8000人いるということです。
しかし、「被爆体験者」は「原爆の放射線による直接的な身体への影響は認められない」として、がんなどの病気になっても医療費や手当などが支給されないため、平成19年から国などに対し、被爆者と認めるよう求める集団訴訟を起こしました。
一連の訴訟の原告の数はおよそ550人に上り、このうち、先行しておよそ400人が訴えた裁判では長崎地方裁判所が平成24年に訴えを退け、2審の福岡高等裁判所の判決は来月28日に言い渡されます。
一方、長崎市は、「被爆体験者」の要望を受けて、3年前から専門家による研究会を開き、科学的な知見をもとに被爆地域の拡大を目指そうとしているほか、去年には、田上市長が厚生労働省に被爆地域の拡大や支援の充実を求める要望書を提出しています。