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みききしたこと。おもうこと。

2016-02-21

日本図書館研究会第57回(2015年度)研究大会に行ってきた。〜その1

| 22:21 | 日本図書館研究会第57回(2015年度)研究大会に行ってきた。〜その1を含むブックマーク

 こういうのに行ってきた。

日本図書館研究会第57回(2015年度)研究大会(1日目)

2016年2月21日(日)立命館大学朱雀キャンパス

http://nal-lib.jp/events/taikai/2015/invit.html

 自分にとって面白い発表が多くて、非常に充実していた。充実しすぎてレポートにするのは大変なので、印象に残った数点だけメモ。誤記、誤解ご容赦。ちゃんと知りたい人は、後日出る論文集を待つといいよ。

  • 明治・大正期における中小規模図書館の管理形態とその変遷〜愛知県津島市図書館の事例を中心として〜」園田俊介氏(津島市図書館
    • 津島市図書館で、過去の史料がたくさん発掘された。これを読み解くと、行政に翻弄された中規模図書館の様子がよく分かる。
    • 120周年記念として資料集*2を作った。研究者に使ってもらえるよう、あまり解釈は加えず資料中心。
    • 津島市図書館公共図書館として認可されたのは明治30(1897)年。
    • 日本では明治から大正にかけて図書館が増えた。しかしこの時期を取り上げた研究は、府県立図書館などの大図書館に集中しがち。ひとつは史料の不足、ひとつは戦前の図書館のあり方が批判されてきた歴史による。しかし中小規模の図書館にも注目すべき。
    • 津島市図書館は、明治から昭和にかけて何度も管理者が変わっている。教育会図書館だったものが行政区分の分裂に伴い分裂した。
    • さらに財政の苦しさから、教育会から公立に移管。そののちも学校組合の解散、郡制廃止などにより変遷してきた。
    • 津島市に限らず、多くの図書館がたどった状況の類型と思われる。図書館単独でなく、行政の一組織として見る必要。
    • 質疑
      • フロア:現代も似た状況があるが、当時から日本の社会の仕組みに図書館根付かなかった理由は。
      • 発表者:利益にならないこと。明治30年頃に、行政にとっては荷物であり、民間企業にとっても儲けにならないといわれている。
      • フロア:当時の行政の教育関係予算は、教員費の割合が大半。行政だけでなく、大字や地域団体による文庫経営など、地域の中での位置づけに目を向けることが必要。
    • xiao-2感想:利益にならないと言われ、翻弄されながらも120年続いてきたのは、逆に凄いことじゃなかろうか。
  • 公共図書館での高齢者サービス−瀬戸内市立図書館での試み−」嶋田学氏(瀬戸内市立新図書館開設準備室)
    • 現在65歳以上の人口比率は26パーセント。高齢者のためのサービスではなく、高齢化社会におけるサービスを考える必要がある。大活字本や録音図書提供など、現在行われている以上の意図的なサービス設計を考えるべき。
    • 体感から、高齢者を2つに分けて考えてみた。戦前世代と戦後世代
    • 戦前世代は戦後復興を生き抜いてきた人たち。支援サービスを受けている人も、そうでない人も。自己有用感があり、その反面体の衰えが自尊心を衰えにつながりやすい。勇気づけのための文芸や写真集、加齢をアジャストするサービスとしての大活字資料、音読教室、モノ資料による回想法。
    • 戦後世代高度経済成長期を生きてきた人たち。基本的人権民主主義の考え方が身に付き、主体的思考。学び直しや、自分がこれまでやってきたことのない分野への渇望がある。
    • 生活環境への配慮、まちづくり部署との連携など。
    • 質疑
      • フロア:自分の図書館では高齢者サービスは障碍者サービスの一部と位置付けている。障碍者サービスは何かやっているか。
      • 発表者:センターと連携など。
      • 放送大学MOOCsなどをグループで一緒に視聴する活動の可能性。
    • xiao-2の感想:高齢者を、年齢でなく「世代」でセグメンテーションするのは興味深い。老眼難聴、移動の不便などの物理的サポートの面から考えれば障碍者サービスと通じるが、一方、どういうサービス指向を持つかという面から考えれば、今の70歳と10年後の70歳はずいぶん違うかもしれない。

 というわけで、個人発表についてのメモは以上。続きは…気が向いたら書くかも(書かないかも)。

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