山野健太郎
2016年2月22日14時58分
長崎原爆の投下時に爆心地から12キロ圏内にいたのに被爆者として認められていない「被爆体験者」が長崎県と長崎市を相手取り、被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟で、長崎地裁(松葉佐〈まつばさ〉隆之裁判長)は22日、原告161人のうち10人について請求を認める判決を言い渡した。他の原告については請求を退けた。
国が被爆地域と認めているのは、爆心地から南北に約12キロ、東西に約7キロの範囲。旧長崎市と近隣の旧町村の一部が指定されている。12キロ圏内でも、この範囲から外れた場所で原爆に遭った人は「被爆体験者」として区別され、健康管理手当や医療費などの被爆者援護を受けられない。
今回は、2012年に一審で敗訴して控訴中の第1陣(原告395人)に続く第2陣(同161人、うち9人死亡)への判決。
第2陣では、原告が被爆者援護法の対象となる「原爆放射能の影響を受けるような事情にあった者」(3号被爆)にあたるかどうかが争点だった。原告側は、米国の調査団が1945年9~10月に長崎市と周辺で放射線量を計測した報告書をもとに、原告が原爆投下時にいた場所に応じて、原爆投下後1年間の被曝(ひばく)線量を推計した医師の意見書を証拠として提出。健康に影響する水準の放射線を浴びた、と主張していた。
被告の長崎県、長崎市は被曝線量の推計は過大などと主張して争っていた。(山野健太郎)
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朝日新聞社会部
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