超低金利時代の住宅ローン返済方法は『先行逃げ切り』
どうも千日です。日銀の導入したマイナス金利で銀行に預けるときの金利が下がるデメリットがある一方、銀行から借りるときの金利も下がるメリットがあります。
10年間の住宅ローン減税の恩恵を最大限受けつつ、終了する11年目で一括返済することで、大幅に元金を減らせば実質的に金利負担をゼロにすることができるんです。
当初は懸念された貸し渋りもなく、3大銀行の住宅ローンの利下げ合戦が激化していて、こんな裏技的な方法が現実味を帯びてきています。
- 三井住友銀行は、2016年3月実行からの10年固定の金利を0.15%下げて0.9%とする決定をしました。
- これに対抗してみずほ銀行は、ネット限定のプランで10年固定を0.875%に下げてきました。
- かと思えば、三菱東京UFJ銀行の10年固定は0.8%としてくるという報道が流れています。
まさに、利下げ合戦マイナス金利で3メガバンクが金利引き下げ 3大銀行の収益性・安定性比較 - 千日のブログです。
10年固定金利がここまで下がっている今なら、10年間の住宅ローン控除額のほうが大きい状態が確定します。借りているのに利息がもらえる恩恵を確実に受けられます。
今日はこの超低金利時代ならではの住宅ローン控除と繰り上げ返済を活用して実質的な金利負担をゼロにする返済方法を分かりやすく説明します。
ズバリ、先行逃げ切りです。
頭金を温存し10年間は借入残高を出来るだけ減らさず11年目に繰上げ返済
10年固定金利では3大銀行で最低金利の三菱東京UFJ銀行の0.8%を例にとりましょう。
住宅ローン控除は年末のローン残高の1%ですから、差引0.2%が住宅ローンを借りている人の『儲け』となります。
住宅ローン控除を受けられる10年間はローン残高が多い方がお得なんですね。そして、11年目から金利が上がりますし、税額控除のメリットもなくなりますので繰り上げ返済するわけです。
下のグラフは全期間の支払利息から住宅ローン控除でによってトータルで利息がゼロになるシミュレーションの結果です。
頭金はあえて温存するのです。
2,000万円を10年固定金利、35年でボーナス払いなし
返済額はブルー、貯金はオレンジ色になっています。オレンジ色の貯金は11年目に一括して繰り上げ返済します。繰り上げ返済によって、16年で完済となります。
11年目からは1.95%と仮定すると、944万4,796円一括返済し、残り6年で返済すれば、11年目以降の利息は32万円となり、ほぼ、金利の負担は無かったということになります。
ちなみに、11年目の一括返済資金である944万4796円を貯蓄するには月々78,706円の貯金が必要となります。
11年目以降の月々の元利均等返済額は79,534円ですので、金利が1.95%に上がってもさほど負担に変化はありませんね。
意外と現実的なので自分でも驚きです(@_@)
3,000万円を10年固定金利、35年でボーナス払いなし
ブルーは返済額、オレンジ色は貯金額になっています。オレンジ色の貯金は11年目に一括して繰り上げ返済します。繰り上げ返済によって、19年で完済となります。
11年目に一括返済して大幅にローン残高を減らすことで、以降の利子を48万円に抑えれば実質的な金利をゼロに出来るというわけです。
11年目からは1.95%となる前提を置きました。
ちなみに、11年目の一括返済資金である1,426万7,193円を貯蓄するには月々118,706円の貯金が必要となります。
4,000万円を10年固定金利、35年でボーナス払いなし
同じく、ブルーは返済額、オレンジ色は貯金額です。貯金は11年目に一括して繰り上げ返済します。繰り上げ返済によって、3,000万円のケースと同じ19年で完済となります。
初年度39万円の住宅ローン控除を使いきれる必要があります、年収700万円以上の人です。(詳しくは後半に記載してます)
11年目に一括返済して大幅にローン残高を減らすことで、以降の利子を64万円に抑えれば実質的な金利をゼロに出来るというわけです。
11年目からは1.95%となるという、同じ前提を置きました。
11年目からは1.95%と仮定すると、1,868万9,590円一括返済し、残り9年で返済すれば、11年目以降の利息は66万円となり、ほぼ、金利の負担は無かったということになります。
ちなみに、11年目の一括返済資金である1,868万79,590円を貯蓄するには月々155,750円の貯金が必要となります。
11年目以降の月々の元利均等返済額は162,013円ですので、金利が1.95%に上がることで1.5倍の負担となります。全体的に全てが2,000万円のケースの2倍ですね。
今回は金利負担をほぼゼロにすることに拘りましたが、そこまでこだわらなければもう少し楽な返済計画になると思います。
住宅ローン控除の上限とすまい給付金
補足として、住宅ローン控除とすまい給付金について大事な部分を説明しておきます。
住宅ローン控除の正式名称は住宅借入金等特別控除と言います。
居住者が住宅ローンを利用してマイホームの新築、取得または増改築等をし、一定の要件を満たす場合はその取得等に係る住宅ローンの年末残高の合計額の1%を所得税額から控除するものです。
No.1213 住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)|所得税|国税庁
また、所得税額から控除しきれなかった金額がある場合は、翌年度の個人住民税から控除されます(平成21年~平成31年までに居住し、所得税の住宅ローン控除を受けた人)。
ただし住民税からの控除は、136,500円までが限度になっています。
総務省|所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方|新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。
所得税額+住民税額以上には控除できない
住宅を購入して銀行から住宅ローンを借りたら、その年末残高の1%については税金が安くなるということです。もしも、住宅ローン残高の1%が所得税額及び住民税額を超えてしまったら、マイナスになりますよね。
もしかして、税金がマイナスになる?
利息はマイナスになりますが税金はマイナスになりません、所得税額と住民税額の合計が上限です。
天引き前の額面年収と所得税、住民税の目安
年収300万⇒所得税5.6万・住民税11.7万
年収350万⇒所得税7万・住民税14.5万
年収400万⇒所得税8.7万・住民税17.7万
年収450万⇒所得税10.8万・住民税21.1万
年収500万⇒所得税14.3万・住民税24.5万
年収600万⇒所得税20.9万・住民税31万
年収700万⇒所得税32.2万・住民税37.9万
住宅ローン控除の上限の目安
上に挙げた所得税と住民税の合計から計算できますが、住民税からの控除額の上限は136,500円というのがありますので、下記のようになります。
年収300万⇒17.3万
年収350万⇒20.6万
年収400万⇒22.3万
年収450万⇒24.4万
年収500万⇒27.9万
年収600万⇒34.3万
年収700万⇒45.8万
すまい給付金
すまい給付金、意外と知らない人が多いです。知らないと損ですよ。
すまい給付金とは、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度で、消費税率8%の場合は年収510万円以下の人を対象として最大30万円、消費税率が10%の時は、収入額の目安が775万円以下の人を対象に最大50万円給付するものです。
もとの税金が少なくて、住宅ローン減税の控除を引ききれなかった場合にはこのすまい給付金で補てんすることが出来ますので、是非利用してください。
申請しなければもらえません。知らなければそれまでになってしまいます。
以上、千日のブログでした。
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