世の中では、イケメンが育休を取って子育てに専念しながら、Fカップのグラビア女優と不倫するのが流行っているらしい。
ワタクシは、家で仕事をしながら、家事をこなして育児もしているのだから、不倫する暇などないのが悲しいところである。
そんなワタクシであるが、イクメンにもまだまだ世間の風当たりはキビシイと思うことがよくある。
まだ、娘が保育園に入園する前、近所の公園に平日の昼間から娘と遊びに行くのが日課となっていた。家で仕事をしていたので、公園に行くのは良い気分転換になった。
毎日のように、同じ公園に行っていると、大体、来ているママ達の顔ぶれなんかがわかってくる。砂場で、子供を遊ばせながら、そこで一緒になったという理由で、ママ達は、昔からの友達だったかのようにおしゃべりを始める。
ところが、イケメンかつイクメンのワタクシにフレンドリーに声をかけてくれるママがいない。なんでや?
どうも、世間ではワタクシのような年代の男が、平日の昼間に公園にいると不審者として扱われるらしい。
ワタクシは周囲から好奇の目にさらされていることを、うすうす感じ始めた。どうしたもんか?
そんなある日、砂場でいつものように娘を遊ばせながら、他のママ達とおしゃべりすることもなく、のんびりしていた時に、娘がふと
「ママ、ママ!」
と言ったので、とっさに空を見上げ
「そうだね、ママ、お空の向こうにいっちゃったね!」
と、返しておいた。
それを聞いていた、砂場のママ達の間に、妙に荘厳な空気が流れ、さわやかな一陣の春風が通り抜けていった。
それ以来、なぜか、この公園のママ友はワタクシにフレンドリーに声をかけてくれるようになった。
そんなことを露とも知らず、嫁は家でキャンディークラッシュをしていたのであるが、ある意味、お空の電波に乗って遊んでいたのだから、ヨシとしようと思うイクメンであった。