宇宙がどのように生まれたのか。間接観測からさまざまな理論が提唱されているが、やはり「その時」の余韻を「直接観測」したい。2月11日、米国の重力波望遠鏡「LIGO(ライゴ)」が、重い天体が動くときに生じる重力波を初観測し、宇宙誕生の直接観察への窓を開けたが、ほかにも直接観測を目指しているものがある。
その一つが、いまだに観測されていないためにおどろおどろしい名前が付けられている「暗黒物質(ダークマター)」だ。理論上の宇宙の質量(重さ)に対して、原子などの目に見える粒子の合計は5%程度しかなく、その乖離は大きい。むしろ、見えている物質はごく一部で宇宙の“主成分”は別のものと考えられている。これらの質量を埋める粒子は「暗黒物質」、エネルギー(相対性理論では質量と等価)は「暗黒エネルギー」と名付けられている。ニュートリノも暗黒物質の一種だ。
未知の粒子を見つけようと、2010年から観測を続けているのがXMASS(エックスマス)実験施設で、ニュートリノ観察施設「スーパーカミオカンデ」などのある東京大学宇宙線研究所の神岡宇宙素粒子研究施設(岐阜県飛騨市神岡町)にある。約マイナス100度の液体キセノン約1トン(今後拡張予定)を詰めた大プールで、宇宙から到来する非常に高いエネルギー領域の粒子を観測しようとしている。地球の外側からも見ようと、昨年8月に国際宇宙ステーション(ISS)に「CALET(高エネルギー電子・ガンマ線観測装置)」が運ばれ、同10月から日米伊共同による研究が始まっている。
copyright (c) 2016 Sankei Digital All rights reserved.