英国のデビッド・キャメロン首相はブリュッセルで英国がEUに残留するための条件交渉を行っていましたが、それがこのたび終了しました。

これをうけてキャメロン首相は6月23日に英国がEUを離脱すべきかどうか? を問う国民投票を実施すると発表しました。

今回のブリュッセルの交渉ではキャメロン首相は:

1. EUへの移民に対する福利厚生の制限
2. EUが常により緊密な統合を目指すことから英国が免除される自由
3. シティの金融機関へのEUからの規制強化をやめること

などを主張しました。

それに対する、一定の回答を得たことで、その成果を今度は英国国民に直接問うわけです。

もし英国がEUを抜けると、どのような影響があるのでしょうか?

まずロンドンは英国だけでなくヨーロッパ全体の金融センターとなっています。しかし英国がEUを抜けると、金融センターとしてのロンドンの地位が低下する恐れがあります。そうなればシティにおける高給の雇用が減るので不動産市場にも悪影響が出る可能性があります。

多国籍企業は欧州本社機能を大陸へ分散すると予想されます。

さらに海外から英国への直接投資が減少するのでGDP押し下げ効果があると思われます。

これまでEUのメンバーであることで「シングル・マーケット」、「シングル・パスポート」、「シングル・ライセンス」などの利便を享受してきたわけですが、それらが無くなったとき、ロンドンがこれまで通り最高の人材を集めることが出来るかどうか不安が残ります。

もし英国がEUを離脱したら、英国の輸出企業は欧州に対する輸出に関税をかけられる可能性があります。因みに現在、英国の財やサービスの輸出の45%は欧州向けです。

その反面、英国がEUを抜ければ、英国が中国、インド、米国とビジネスする際、EUに気兼ねすることなく独自に関税を交渉することができるようになります。

英国がEUを抜ければ、当然、分担金を払わなくて良くなります。その反面、EUメンバーシップがもたらす手続きの簡素化などの恩恵に浴することが出来なくなります。

EUを離脱すれば労働法、ヘルスケア、安全基準などで英国は独自の法律を貫くことができます。

移民に関しては、EUを離脱しても、移民の流入をゼロにすることはできないでしょう。これはEUメンバー国でない国にもEUを経由して移民が流入していることをみれば明らかです。ただ入国管理の厳格化は独自にできるようになります。

英国の国際影響力については、どうでしょうか? 現在、英国はEU議会であまり影響力を行使できていません。その意味ではEUを去っても国際的影響力にはさほど変化は出ないとも考えられます。