日銀のマイナス金利が、予想通り長期金利に大きな影響を与えている。
2月19日、10年国債の流通利回りは再びマイナスに陥り、一時、-0.01%にまで金利が低下した。長期金利は文字通り乱高下で、国債市場の動きは極めて不安定だ。
黒田日銀総裁は「効果は実体経済に表れ始めている」と述べ、依然として強気な姿勢を崩さない。ただ、景気先行きに不透明感が高まる中、国債市場の不安定な動きによって銀行などのリスク許容度は低下しやすい。
今後、日銀がマイナス金利を拡大すると、資金の運用する側の苦悩は一段と高まるだろう。一部の投資家から、「マイナス金利は拷問に近い」との悲鳴も出ている。マイナス金利の弊害とリスク許容度の低下が重なると、マイナス金利自体の罪と罰が明確になるかもしれない。
不安定な展開続く国債市場
マイナス金利導入後、国債市場の動きが荒れている。1月28日、マイナス金利導入決定の前日、長期金利は0.22%だった。マイナス金利の導入、その後の市場混乱もあり、2月9日には、長期金利が一時-0.035%に低下し、15日は0.095%まで上昇した。そして19日には再度、金利が-0.01%にまで低下した。
日銀は、国内金利に低下圧力をかけるためにマイナス金利を導入した。その措置は、結果として金利の変動性(=ボラティリティ)を高めた。マイナス金利は金利低下を期待させたことは確かだが、多くの投資家が「思った価格で債券を売却できないかもしれない」との不安を急速に高めたことも確かだ。
そのため、国内金利、特に長期債の利回りは不安定な状況が続いている。
投資家の疑心暗鬼が続き、そうした心理状態を映して長期債の流通利回りが乱高下する。これまで安定的に下落傾向を辿ってきた長期金利は様変わりしている。投資家の心理が落ち着くまで、国内の金利市場ではこうした展開が続くだろう。
新年度を控える中で多くの金融機関は、「今後どう資金を運用すべきか」という深刻な問題に直面している。
金融機関は、米国債をはじめとする外国債券への投資を増やすという見方は多い。しかし、米国の10年金利は1.7%台にまで低下している。為替変動などのリスクを考えると、それ程大きな投資妙味はない。
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