韓国での裁判は「ワンダーランド」
――産経新聞の前ソウル支局長の加藤さんは、'14年8月3日付のインターネット版コラムで朴槿恵・韓国大統領の名誉を毀損したとして同年10月に在宅起訴され、昨年12月17日に無罪が確定しました。約500日に及ぶ闘いの日々を描いたのが本書『なぜ私は韓国に勝てたか』です。
私は'04年9月から半年間、韓国・延世大学で韓国語を研修し、'10年11月から産経新聞ソウル特派員となり、'11年11月から'14年9月までソウル支局長を務めました。
それで'14年8月1日に、10月1日から東京本社の社会部勤務という内示を受けて、帰国の準備を始めていたのです。そうしたらあの記事のために、出国禁止措置を出され、10月8日に韓国検察によって在宅起訴された。これら一連の出来事すべてが、青天の霹靂でした。
――問題となったコラムは、起訴されるとは思えない内容でしたね。
ええ。コラムは以下のようなものでした。
'14年4月16日に起こったセウォル号沈没の日に、朴大統領が7時間にわたって所在が不明になっていた。その間に、大統領が元側近の鄭允会氏と会っていたとの噂がある。そのような真偽不明の噂が取り沙汰されるほど、朴政権のレームダック化は進んでいるようだ――。
それらを、韓国国会で大統領が追及された事実や、「朝鮮日報」が報じたコラムを引用する形で載せたのです。私としては、支局長生命を賭けて勝負するような重要記事ではありませんでした。
それを韓国当局は、大騒ぎして私を起訴し、出国禁止措置を出した。こうした措置は、異常としか思えませんでした。
――この本には巻末に、「加藤裁判記録 主な攻防」という公判でのやりとりが克明に記されています。
それを読むと原告側が、「韓国メディアが、日本の総理が若い女性と援助交際をしているというニュアンスの記事を書けば、日本人は黙っているでしょうか」と証言したりして、公判ではかなり痛烈なやりとりをされていますね。
告発者は私が日本語で書いた記事の原文さえ読んでいなくて、現地のネットメディアがいい加減に付けたタイトルをもとに、感情に訴えて扇情的に語る。検察は、故意に膨大な資料を積み上げて威圧する。傍聴席には昼間から酒臭い男たちがいて、私のことをヤジる。裁判長は彼らにも発言権を与えたり、私に説教を始めたりする。
公判では、そんなことが一日5時間以上も続くわけです。私は社会部出身で、日本の裁判を多く取材してきましたが、韓国で自分自身が経験した裁判は、日本とはまるで異なる「ワンダーランド」でした。
ただ私の弁護士のパク・ヨングァン氏は大変冷静かつ優秀な方で、随分と擁護してくれたので助かりました。
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