トップページ社会ニュース一覧ビキニ事件 周辺海域の元乗組員7人“労災”申請へ
ニュース詳細

ビキニ事件 周辺海域の元乗組員7人“労災”申請へ
2月22日 5時50分

ビキニ事件 周辺海域の元乗組員7人“労災”申請へ
k10010417411_201602220545_201602220549.mp4
62年前のアメリカの水爆実験で日本の漁船の乗組員が被爆した、いわゆる「ビキニ事件」で、周辺の海域で操業していた漁船に乗っていた高知県の元乗組員7人について、医師の意見書などから被ばくの影響で、がんなどを発症したことは明らかだとして、民間の支援団体が一般の労災保険に当たる船員保険の適用を今月申請することになりました。
ビキニ事件は、アメリカが昭和29年に太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で、静岡県の漁船「第五福竜丸」の乗組員23人が被ばくし、半年後に1人が死亡しました。
当時、周辺の海域で操業していた漁船に乗っていた高知県の7人の元乗組員について、水爆実験で被ばくし、がんなどを発症したとして、民間の支援団体が船員保険の適用を今月26日に申請することになりました。
支援団体によりますと、7人については「船員手帳」などで当時、周辺の海域で船に乗っていたことが裏付けられるうえ、当時の診断書を分析した医師の意見書などから、被ばくの影響でがんなどを発症したことは明らかだとしています。
船員保険は一般の労災保険に当たり、適用が認められれば、これまでの治療費が支払われ、元乗組員や遺族の年金も増額されます。
支援団体は、さらに3人の元乗組員についても船員保険の適用申請の準備を進めているということです。

「申請認めてもらい仲間も救済を」

船員保険の適用を申請する元乗組員の1人、高知市の桑野浩さん(83)は、21歳の時に「ビキニ事件」に巻き込まれました。
マグロ漁船の甲板員としてビキニ環礁近くの海域で操業していたところ、黒い灰が雪のように降ってくるのを見たといいます。事件のあと、桑野さんは鼻血が大量に出たり、白血球が異常に増えたりする症状に悩まされました。そして、12年前には胃がんを発症し手術を受けました。
桑野さんは、「漁から戻ってきた時に、船やマグロについては放射能の検査をしたのに、船員への対応は何もなかった。自分の申請を認めてもらい、ほかの仲間の救済にもつなげていきたい」と話しています。

支援団体「今回の申請は“氷山の一角”」

「ビキニ事件」では周辺の海域で操業していた、およそ1000隻の船のうち、3分の1近くに当たる270隻ほどが高知県の船でした。
高知県内の300人余りの元乗組員への調査を行ってきた民間の支援団体によりますと、事件から62年がたち、このうち9割ほどの人がすでに亡くなったり、寝たきりになったりしているということです。
支援団体の山下正寿事務局長は「今回申請する人はごく一部で、“氷山の一角”にすぎない。今回の申請を認めてもらい、2次・3次と申請を行って元乗組員や遺族の救済を早く実現したい」と話しています。

関連ニュース

k10010417411000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ