新刊で買うと結構、高い。2万円じゃ買えない(;´Д`)
でも、高い故、「元を取ってやる」と思わせる効用がある(笑)
専攻は「刑事法」だった。
しかし、刑事法を極めようとすると、必ず語学の壁にぶち当たった。
刑法の場合、犯罪の定義をざっくり言うと、「構成要件に該当し、違法性のある、有責性のある行為」となる。
構成要件、違法性、責任というこの三類型は、それぞれtatbestand(タートベシュタント)、rechtswidrigkeit(レヒツヴィードリヒカイト)、 schuld(シュルト)というドイツ刑法の概念をそのまま日本に持ってきたものである。
よって、刑法を本格的に研究するなら、ドイツ語に一定程度、習熟していなければならないが、大学2年次、ドイツ語を落とした俺には絶対ムリな話だ(ただ、興味深いのがが、ドイツの刑法は違法性の本質を「行為無価値」と説く立場が支配的だが、ドイツに留学したりする日本人学者は、帰国後、逆に「結果無価値論者」になってしまうヒトが多いという現象だ。ドイツ刑法学に致命的な問題があるのだろうか。)。
以上は刑法の話であるが、刑事訴訟法は違う。
刑法は大陸法、特にドイツ法の影響下で制定された。旧刑事訴訟法も糾問主義、職権主義という大陸法チックな法体系をとり、刑法と同じ系譜に属していたが、新刑事訴訟法、つまり現行の刑事訴訟法は、GHQにより、英米法、特にアメリカ法の影響下で制定され(だから、同じ刑事法であっても、刑法とは毛色が違うのだ。これは比較法上、非常に興味深いものだと思う)、弾劾主義、当事者主義という英米法チックな法体系を持っている。
このことから、戦前の刑訴法の研究なら別論、現行刑訴法を趣味として勉強する場合、ドイツ語は必要ない。英語の知識があれば十分だ。英語なら何とかなる。
従って、現在は、紀伊国屋等からアメリカの刑事法を取り寄せ、休日とかには、ひがなそれを読んでる。日本語だってままならないのに外国語なんてね~(笑)
因みに、俺みたいな昭和の人間は、自動車メーカーのBMWをドイツ語読みで「ベンベー」と読むが、今は「ビーエムダブリュー」でなければ通じない。ドイツ語はダメダメな俺が言う資格は無いが、寂しい限りである。
前回の続きを書く。
2回目の高校1年生になる。
俺が行こうとした高校は、私立の男子校で、3次募集をしても定員割れで、ツッパリ、不良高校である。いわば、全国の落ちこぼれを集めたような高校だ。
県内では「掃きだめ高校」、「バカ高校」、「リアルビーバップ高校」、「リアル極道(きわめみち)高校」、「〇〇動物園高校」、「犯罪者養成高校」等、蔑称を挙げるに枚挙にいとまがなかった(以下、「バカ高校」と表記する)。
そんなところに一浪してまでいくことになる。
一応、形だけは入試があった。
三次募集でも、英国数のペーパー試験と、面接があった。
「定員割れなんだから、入試をしたって意味ないじゃん。時間と金の無駄なのに」
と思ったが、入試を受けなければ入学できないので仕方が無い。
受験生は12名、入試のペーパー試験の内容は覚えていないが、小学校のテストのような試験ではなく、普通のレベルの試験で、それが意外だった。
面接の方は今でも覚えている。
お爺さんみたいな教員が「あなたは過年度生(1年以上遅れて受験する生徒のこと)だが、そこまでしてどうして本校を受けるのか?」と訊いてきた。
俺は「(俺だって受けたくないよ。でもこのバカ高校しか無いんだから仕方無いじゃん。もしかして、おい、爺さん、俺が浪人してまでこの高校に行きたかったとでも本気で思っているのか…と心の中で毒づきながら)、県立高校に行きました。しかし、意義を感じられず、辞めて社会に出ましたが、やはり高校は出ておくべきだと思うに至ったからです」と当たり障りの無い応答をした。
すると爺さまは「社会ではどのような仕事をしてきた?」と訊いてきた。
俺は「(面倒くさいなぁ~。一定の仕事だったら、何か特典があるのかい?無いだろう。単に爺さまの好奇心を満たすだけの質問だろう…と同じく毒づきながら)はい。測量の仕事をやっていました。三角関数は得意です」と思いっきり見栄(というかむしろ「ウソ」…笑)を張ったら、爺さまの顔色が変わり「ほう、測量とな、それはスゴイことだ。いやいや、結構結構」と言ってきた。
程なく全員の面接が終わり、すぐさま12人全員が視聴覚室みたいな部屋に呼び出され、偉そうなオッサンが「オッホン(咳払い)、今年の受験生は全員優秀である。よって異例の措置ではあるが、今日、この場で全員合格としてやろう」と通知してきた。
「おいおい、いくら何でも早過ぎだろう。ペーパー試験の答え合わせ、したのか?それに、異例ってなんだよ。多分、毎年、毎回、「異例の措置として即日全員合格」を通知しているんだろうな…」
それに、「おい!バカ高校、オマエのところは定員割れなんだぞ。どうしてそんなに上から目線なんだよ!」と心の中で毒づいた(笑)。
一年前の高校合格発表の時は、それなりに嬉しかったし期待もあった。しかし、このバカ高校の合格発表、全然喜べなかった。
それどころか、「来月、新学期から、このバカ高校の制服に身を固め、毎日毎日、バスで通学する苦行が始まるんだな…嫌だな~、制服着るの。バカって思われちゃうじゃんか。そりゃあ確かに俺はバカだけどさ、同じバカでもこの高校に行く程のバカじゃない(;´Д`)」と思うと、ひたすらユウウツだった。
そして、とうとう、2度目の高校生活1日目が始まった。