英語やドイツ語といった外国語でコミュニケーションをとっていると、非母語者にとって100%は理解できない状況が現れることがあります。相手の意図が理解できる場合は、虫食いの部分は推測で補って何とか会話をつなげていけますが、この虫食いの部分が大きくなればなるほど、推測が難しくなります。
そんなときに、わからないから聞きなおすというのは一つの方法です。恥ずかしがらずに聞き直してOKです。ただ、何度も聞きなおすのも、会話の流れを止めてしまうかもしれないという遠慮から、聞きなおさないほうがいいと思ってしまう場合もあります。そんなときに、わからないから笑ってごまかすのはよくない方法です。というのは何らかの適切なリアクションをしたほうが、相手の言っていることを理解しているというサインを出せるからです。にこにこしてごまかしても、多くの場合、相手には理解されていないことが見え見えです。
そこで、相手が何言っているのかわからない、どう答えていいのかわからない、というときに使える、おすすめの裏の手があります。
自分の土俵に引き込む
それは、こちらの側から新しく話題を切り出すことです。
といっても全く新しい話題を切り出すのではなく、相手が言った話題のうち、自分が話せる部分を、前の文脈に関係なく切り出すことです。
例:ゾンビ映画について会話しているとき
例えば、ゾンビ映画の歴史の話(ゾンビ映画のまとめ記事も書いております。文末、参照)をしていて、話が社会の死生観がどのように変遷していったのかに移ったとします。そのときに相手の主張がよくわからないとします。
例えば以下のような場合です。
相手「ドイツ社会の死生観は1970年ごろのXXX(中略)がXXXXでXXXXだったと思うよ。でも現代にもそれは通じてて、XXXXXにもそれは現れているけど、XXXXの場合もあるかな。」
こういうとき、死生観の変遷というおおまかなテーマを話しているのはわかりますが、それ以外はわかりません。
ここで、自分から話の流れを作っていくことで場を切り抜けます。
例えば
自分「ドイツの話じゃないけど、ドラマのウォーキングデッドはゾンビになってしまった近親者に対しても、きずなを断ち切れない様子を描いているよね。それは、昔の映画がゾンビをどちらかというと死んだもの、生者とは無縁のもののように描くために、グロテスクさのみを強調しているのとは対照的だと思う。これって、最近のアメリカの、XXXXXの傾向を反映していると思う」(内容は例です)
というように新しいサブテーマ、それも自分が何らかの知識や意見を持っているテーマを切り出すと、相手はそれに応じた応答をします。
自分の投げかけた話は、当たり前ですが、外国語であろうと100%理解でき、その自分が話した内容によって相手のリアクションの幅は狭まります。そのため、次に来る、相手のリアクションも相当部分推測できます。しかも今度は自分の知っている内容に話しをもっていけたので、会話へも参加しやすくなります。
例えばこの会話の例だと次に相手が話してくる内容は、ウォーキングデッドというドラマの話か、ゾンビにも近親者がまだ感じ取ろうとする人間性の叙述形式か、最近のアメリカのXXXXXか、といったように、自分が話した内容のうちのどれかに関連したものになる可能性が高いです。
会話の主導権を握る
自分の知っていることを、おおまかなにわかっているテーマに結び付けて話していく。これを会話の中で適宜行うことで、相手の発音が方言で訛っていても、早口でも、もごもご言っててはっきり発話しない場合でも、会話の流れをある程度コントロールできるようになります。
使うかどうかは別として裏技のレパートリーが多いに越したことはない
但し、これはあくまで裏技であって、できる限り相手の話を受ける形で会話を続けていくことが望ましいです。こっちの言いたいことばかりを言っていると会話は成立しないので。
確かにこうした裏技は検定・試験対策には関係ありません。外国語学習にとって外道かもしれません。しかし、こういったテクニックは、点数をとることではなく実際に外国語で会話していく上で、知っていても損はないでしょう。むしろ、そうした裏技が、会話を円滑に進めていく上で必要になる場合に直面することさえあります。
こういったテクニックは机上で本を使いながら外国語を勉強しているだけでは修得できないものです。実戦経験をつむと、こうした奥の手レパートリーが増えていくものです。
ちなみに、私は修士のころにこの裏技を使っていました。
文中で出てきたゾンビ映画の例ですが、以下のような記事も書いています。
英語やドイツ語関連では以下のような記事も書いております。