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映画クロスレビュー

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[第111回]『火の山のマリア』

身ごもったマヤの娘


みどころ


グアテマラの火山のふもとの農園で両親と働く先住民族マヤの娘、17歳のマリア(マリア・メルセデス・コロイ)。一家の暮らしを安定させようと、年の離れた地主との結婚を決められる。青年ペペにすがるように身を委ねるが、彼は憧れの米国へひとり向かい、マリアを捨てる。ペペの子を身ごもったマリアに周囲は堕胎を迫るが、母とともに赤ん坊を守ろうとする。ベルリン国際映画祭で銀熊賞。(2015年、グアテマラ・仏、ハイロ・ブスタマンテ監督、全国順次公開中)




〔公式サイトはこちらからどうぞ)



[Review 01] 安藤裕康 評価...★★★▲(満点は★四つ)

ほとばしる素朴な純愛


貧農の娘マリアは、裕福な地主との結婚話を目前にしながら、好きな若者の子を身ごもる。だがその青年は、恵まれた米国の生活にあこがれて、彼女を残して旅立ってしまう。


と言うと、ありふれた失恋話に聞こえそうだが、この映画の特色は、マリアの一家がグアテマラの高地に住むマヤ系先住民という点にある。彼らは僻地(へきち)の厳しい環境にあって、わずかばかりの土地で家畜を飼って農耕を営み、迷信や土着の信仰に頼って生活している。スペイン語も解さず、一般社会からは孤立している。男から置き去りにされたマリアの姿は、社会から見捨てられて暮らす先住民族の過酷な運命とダブって見えるのだ。


だが、もっと胸を打たれるのは、そういう逆境にありながらも、マリアやその母親が見せる母性愛の激しさである。…続きを読む

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