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『声は第二の顔である』

フランスの作家、ボーエルの言葉です。

意味はそのまま。顔の表情と同じく、日常のどんなシーンでも声が相手に与える印象は大きいということ。

私たちの生活でいえば、たとえば、電話。

感情、気持ちが声で伝わる連絡手段です。声で相手に何かを伝えるには、伝える内容以上に、“声の表情”がより大事になってきます。(電話営業のお仕事をされていた方は、よく分かるかも知れませんね)

今回、東京Komachiでご紹介したい美人さんは、そんな『声』の世界のがむしゃらに走り続けてきた方。

川島ノリコさん。フリーアナウンサーをされている方。元々アナウンサーをしていたわけではなく、女優の名取裕子さんの付き人を経て、高橋圭三さんの門戸をたたきます。

高橋圭三さんは元NHKアナウンサーで日本初のフリーアナウンサーの先駆けとなり、アナウンサーの神様とも呼ばれた方。

その高橋さんが、1962年に司会業の確立と後進の指導のため設立した「圭三塾」。多くのアナウンサーや、リポーターを輩出した名門。その10期生として川島さんは入塾しました。

ちなみに、日曜朝の「サンデーモーニング」のスポーツ担当でオナジミの唐橋ユミさんとは同期であり、親友であり、そして、お互い切磋琢磨しあう仲でもあります。

そんな川島ノリコさんにお話をお聞きしました。

作品の一部になれる快感

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―――川島さんは、高橋圭三さんが設立された『圭三塾』のご出身とのことですが、恩師である高橋さんの言葉で印象的なものがありましたら、教えてください。

 『印象深かったのは「発した言葉は消しゴムでは消せないから、気をつけるように」という言葉です。メディアで人様の前に出る以上、ついうっかり、とか、口が滑って、というようなことがないように、と戒めるための言葉ですが、今でもそれは心がけていますね』

『また、「人の名前を間違えては失礼になるから出来ればご本人に確認すること」と、「地名に関しても必ず確認すること」の大事さもあわせて教えていただきました』

 『今でこそスマホなどで地名は調べられますが、お名前は確認出来ない場合もあるので、事前に必ずフリガナを振っていただくように打ち合わせの時にお願いしています。アナウンサー、MC、キャスターとしてメディアに出させていただく根幹の部分を、先生(高橋さん)には教えていただきました』

―――そうだったんですね。では、そのベースを教えていただいた“声で仕事をしていく醍醐味”を教えてください。

 『元々、子役から演劇に携わっていたんです。何かを表現することが好きだったので、MCのバイトを中心にしていたのですが、その時に「声」を褒められたり、タイミング良く圭三塾のオーディションに合格したことが重なって「声」の仕事というものに興味を持つようになりました。中でも自分の声ひとつでイメージを変えられたりするナレーションのお仕事に魅力を感じています』

『映像、音楽に乗せて自分の声を吹き込んだ瞬間、作品がAパターンにもBパターンにもなる。演出して下さる方のイメージ通りのものが出来た時、作品の1部になれたと思えた時の醍醐味は演劇と似ているように思います。もしかしたら、ナレーションの仕事を一生続けていきたいと思っているのは、そういうことなのかもしれません』

―――声といえばラジオも多く出演されていますね。

 『はい。ラジオに関しては同じ声を使った仕事でも要求されることが変わってきます。ラジオは、良い音楽だけでなく、その時に必要な情報などを取材し、伝える事が大事になってきます。始めたばかりの時にはアンテナの張り方が分からなかったのですが、経験を重ねるごとに必要な事、求められている事が分かるようになって来て・・・。今では何をしていても、これはこのテーマで話せる!このコーナーで使える!など、頭の中で知らず知らずに骨組みを立てられるようになっていました(笑)』

―――実際にレギュラーが一番長いのがラジオだそうで。なにかきっかけとかあったのでしょうか。

 『地元のラジオ局(FMやまと)でお世話になり、今年の2月で丸14年になります。ラジオで喋りたい!という想いだけでプロフィールを持参した私に、いきなりサテライトスタジオで2時間の生放送!しかも1人喋りで進行していく番組を与えていただいたことは、当時の私には大変なことでしたが有難いことでした』

『ディレクターさんに教えてもらうだけでなく、好きなパーソナリティーさんのラジオ番組を録音してイメージトレーニングをしながら試行錯誤を重ねたことや、色々な局で仕事をさせてもらえたこと全てが糧となっています』

―――ラジオの世界が開けていった「きっかけ」は?

『文化放送のアナウンサー鈴木純子さんが産休を取る間、担当されている番組「遊遊ミュージック」のピンチヒッターを務めさせていただいのですが、その番組が「演歌・歌謡曲」の歌手の方をゲストにお招きする番組だったご縁から、歌手の方やレコード会社さんからお仕事を頂いたり、地元・大和市出身の小金沢昇司さんが当時所属されていた北島音楽事務所のお仕事もさせていただきました』

―――なるほど。そこからラジオの世界が開けていった・・・という感じなんですね。

彼女自身が、生きていく上でもっとも大事にしている部分。人と人との繋がり。それがあったからこそ、ラジオという世界で、声で勝負することにより自信が持て、そして一気に世界が開けた感があったそう。ちなみに北島音楽事務所つながりでは、主催する東京演歌ライブの司会もこれがご縁で、産休する司会者のピンチヒッターで声をかけてもらった、と笑顔で語る彼女。

『なぜかピンチヒッターだったのに3年間も務めさせてもらいました(笑)』

それもこれも、すべて人と人との繋がりに他ありません。

―――NHKラジオ第1で、昨年末「特番」をされていましたよね?

 『はい。「SHIBUYAスタンダード倶楽部」という番組で、ジャズピアニストの国府弘子さんと3日間番組を務めさせていただきました。いつもの1人喋りと違ってとても楽しかったです。(笑)おかげさまで番組は好評のうちに終わったのですが、聴いていただいた方から番組が終わってからもメッセージとリクエストが届いているとスタッフさんから教えてもらい感激しています』

『今後もシリーズでお届けできたら・・・と国府弘子さん、スタッフさんと共に次回を楽しみにしているところですので、聴きたいナンバーとその曲にまつわるエピソードを添えてリクエストしてしてもらえると嬉しいです。次回、あなたのリクエストがかかるかもしれませんよ!』

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※画像は「SHIBUYAスタンダード倶楽部」の様子

・NHKラジオ第一「SHIBUYAスタンダード倶楽部」

笑顔で応えてくださった川島さん。もしご興味のある方はぜひチェックしてみてください。みなさんからのリクエストやメッセージはスタッフの方が、つねにチェックしているそうです。

―――そして、司会の方も精力的に行っていますね。

『そうですね。声&喋る仕事をしていると、必要な時に司会の仕事もいただきます。たとえば、年の初めは賀詞交歓会など華やかなものから、講演会、企業のパーティー、レコード会社のイベント、演歌歌手の方のコンサートなどから、お別れの会に至るまで・・・ありがたいことに色々な方からお声をかけていただいています』

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彼女の恩師である高橋圭三さんが、後進のために立ち上げた圭三塾。その門下生である川島さんが様々な方からお声がかかるのは必然ともいえます。

―――では、『声』を仕事にする難しさを教えてください。

 『レギュラーでナレーションの番組を担当するようになった時に、プロデューサーさんに風邪をひかないように心がけるよう言われてから、今に至るまで、風邪をひかないために常に『のど』のケアをしています。冬は乾燥しているので、基本のうがい手洗いに加えてマスクをして寝るなど徹底しています』

「声のお仕事をしているんだからそんなこと当たり前でしょ?」と思われる方も、もしかしたらいるかも知れません。

しかし、今の時代、当たり前のことを当たり前に行うことって意外に難しい。私事で恐縮ですが、海外ドラマのアフレコ(吹き替え)の仕事をもらった知り合いの女優が、収録初日に風邪をひいてしまい収録にならなかったというエピソードを思い出してしまいました。(当然、演出家に『帰れ!』と一喝され、せっかくのレギュラーが水の泡に)

いくつになっても声で勝負!

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※画像はアンバサダー任命の様子

―――2014年の10月から「中央林間手づくりMarche」のアンバサダーにも任命されたとか。

 『はい。ありがたいことに地元のイベントのお仕事に関わる事で地元の皆さんと親しくさせていただけるだけでなく、イベントでの司会に加えて、ポスターのモデルもさせてもらっています。(汗)春と秋、年2回開催されている際には東急田園都市線の中央林間~渋谷までの各駅と、小田急線の町田~藤沢駅、海老名駅にもポスターを貼ってもらっているぐらい大きなイベントなんですよ』

ちなみに、「中央林間手づくりMarche」は、昨年の12月1日に『第6回かながわ観光大賞 優秀賞』を受賞し、神奈川県でも周知されてきているイベントだそう。その中で司会にモデルに奮闘。地元を盛り上げたい!そんな思いは人一倍強い彼女。

―――川島さんの今後の目標を教えてください。

 『今後の目標・・・というより、初めの頃からの目標なのですが、おばあちゃんになっても声を使ったお仕事をしていきたいと思っているので、いつでも「声」を保てるように心がけています』

―――それでは、最後に声やしゃべりの仕事を志す方にひとことお願いします。

 『ひとことでいうと、「継続は力なり!」ですね』

少し間を置いて、静かにそして力強くそう答えてくれた川島さん

 『求めている仕事が直ぐにこなくても、きた仕事を引き受けていくことで、自分に合った仕事を見つける事が出来ると思います。
一つ一つの仕事を丁寧に、また声をかけてもらえるように頑張って下さい、と言いたいですね』

『また、この仕事は華やかに見えるかもしれませんが、地味な仕事が90%です。取材に始まり、自分で準備することが多いので、その準備が完璧でなければ本番は当たり前ですが上手くいきません』

―――なるほど。確かにその通りですね。

『あとは、与えられた仕事をこなすだけではプロとは言えません。もちろん、声だけでなく人前に立つ仕事でもあるので、見た目も商品だという意識を持ち過ごしていくことも大切です。こういったことが出来るようになれた時には、きっと、仕事をいただけるようになっているはずですよ!』

『また、どんなお仕事でも同じですが『人』と『人』との繋がりが大事なので、感謝する心を忘れずに頑張って下さい。私は今、事務所に属さずフリーで仕事をしているので一度ご一緒した方や、出会った方々からお仕事を頂くので、一つ一つの出会いを大切にしています』

そう語る川島さんの座右の銘は『一期一会』『雨垂れ石を穿つ』

たとえ一瞬の出会いでも大切に。どんなに小さな力でも、根気よく続けていればいつか成果が得られること。

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後日、取材をさせてもらった彼女から嬉しい知らせが届きました。1月26日「USRREAM大賞2015」の授賞式があり、彼女がアシスタントを務める番組、『ニューズ・オプエド』が4位に輝いた。昨年の8位から4位。やはり「継続は力」なのだと思います。

恩師である高橋圭三さん、切磋琢磨しあえる唐橋ユミさん、そのほか仕事で出会った方々・・・出会いを大切にし、根気よく続けてきたからこそ、川島ノリコさんの今がある。

数々の方から教わったことを軸に、今もまったくブレない川島さんは、声だけでなく顔もとびきりの美人さんだったのでした。

※ぜひ、川島さん活躍中の下のサイトもチェックしてみてください。
☆アシスタントを務める【上杉隆のニューズ・オプエド】
☆FMやまと【スマイル♪】
☆NHKラジオ第1【SHIBUYA スタンダード倶楽部】
☆アンバサダーを務める【中央林間手づくりMarche】

  広報 2016.01.29
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