輸血で移植患者らがE型肝炎ウイルスに感染し、慢性E型肝炎とみられる状態になった問題で、献血事業を行う日本赤十字社は21日までに、献血される血液の感染実態調査を2015年度中にも東京都内で始める方針を固めた。
厚生労働省によると、E型肝炎ウイルスは感染しても健康な人なら症状が出ないことが多いなどの理由で、献血の全数検査をしていない。しかし輸血で同ウイルスに感染し、少なくとも5人が、肝硬変などにつながる慢性肝炎とみられる状態になったことが最近判明した。
日赤はウイルスを検出する感度の高い検査方法を使い、東京都内の献血でウイルスの陽性率を調べる方針。国と協議した上で、1万人以上のデータを取得することを視野に検討している。
E型肝炎ウイルスの感染実態調査は、05~06年に東京や宮城、岡山など複数の地域で実施した。東京では感染歴を示す抗体の保有率が高かったが、感染していることを示すウイルスの陽性率は北海道よりも低かったことなどから献血の全数検査は見送られた。血液事業に関する国の有識者会議では、全国的な感染の状況について再調査を求める声が出ていた。
今回の調査では、感染源の一つとみられる豚肉の生食が15年6月から禁止となったことも踏まえ、禁止による感染抑制効果も確かめたいとしている。今後の対応については、東京での結果を基に検討する方針という。〔共同〕
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