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コリログ

青コリが書く雑文。ブラゲからガジェットまで

 

産科ガイドラインから妊婦さんからの質問とその対策をまとめておく

医療

インターネット社会になり情報が氾濫している。誰でも簡単に色々な情報にアクセスできるようになり今まで極一部にしか広がらなかった事が簡単に拡散されニュースになっている。しかし、それに伴いネットの情報が正しいのか間違っているのかを判定する力が求められるようになってきた気がする。正しく情報を判断出来ない人には生きづらい世の中になってきた。なぜ、それを思うのかというと妊婦向けの情報が伝言ゲームを繰り返し、内容がグチャグチャで嫁を不安にするだけだったので、それならきちんと無料で公開されている1次ソースを読もう。そう思ったので日本産婦人科学会の読んでみることにした。

ガイドライン:日本産科婦人科学会

そこから妊婦のあるある質問をピックアップしてまとめておきました。少しでも日本の悩める妊婦さんの少しでも助けになれば幸いです。

 

胎動回数

Q「胎動回数減少」を主訴に受診した妊婦に対しては?

A 胎動回数と胎児健康との関係について問われたら「関連ありとする研究報告がある」。

 

体重増加

妊娠前の体格や妊娠中の体重増加量については?

「妊娠前の体格と妊娠予後」について尋ねられたら,以下の情報を提供する.
1)やせ女性(BMI<18.5)は切迫早産,早産,および低出生体重児分娩のリスクが高い傾向がある.
2)肥満女性(BMI≧25)は妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,帝王切開分娩,死産,巨大児,および児の神経管閉鎖障害などのリスクが高い傾向がある.

 

「妊娠中の体重増加量」について尋ねられたら,以下の情報を提供する.
1)日本人の食事摂取基準(2010 年版)(厚生労働省策定)は,普通の体格の妊婦(非妊娠時 BMI 値が 18.5~25.0 未満)が妊娠 40 週の時点で約 3kg の単胎児を出産するのに必要な体重増加量は 11kg としているが,個人差がある.
2)妊娠中の母体体重増加量が多いほど児の出生体重が重くなる傾向があり,この傾向は妊娠前 BMI 値が小さい女性にはよくあてはまる.一方,肥満女性では妊娠中の体重増加量よりも妊娠前肥満度のほうが出生体重に影響する傾向がある.
3.妊娠中の栄養指導では以下に留意する.
1)バランスのとれた栄養素の摂取を勧める.
2)妊娠前の体格(自己申告妊娠前体重を用いた BMI 値)に応じて指導する.
3)目的が異なる複数の妊娠中体重増加量の推奨値(表 1)が存在すると認識する.
4)体重増加量は栄養状態の評価項目のひとつであり,体重増加量を厳格に指導する根拠は必ずしも十分ではないと認識し,個人差を考慮したゆるやかな指導を心がける.

予防接種

妊婦・授乳婦への予防接種については?

尋ねられたら以下のように回答する
1)妊娠婦人に対して
(1)生ワクチン接種は原則として禁忌である.
(2)不活化ワクチン接種は可能である(有益性投与).
2)授乳婦人に対して
(1)生ワクチン接種も不活化ワクチン接種も可能である(有益性投与)

 

インフルエンザワクチン

妊 婦・授 乳 婦 へ の イ ン フ ル エ ン ザ ワ ク チ ン,抗 イ ン フ ル エ ン ザ
ウイルス薬投与は?

1.インフルエンザワクチン接種の母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いと説明し,ワクチン接種を希望する妊婦には接種する.
2.感染妊婦・授乳婦人への抗インフルエンザウイルス薬投与は利益が不利益を上回ると説明する(尋ねられたら).
3.インフルエンザ患者と濃厚接触した妊婦・授乳婦への抗インフルエンザウイルス薬予防投与は利益が不利益を上回る可能性があると説明する(尋ねられたら).

 

放射線の影響

妊娠中の放射線被曝の胎児への影響についての説明は?

被曝時期と胎児被曝線量の確認が重要であり,被曝時期は,最終月経のみでなく,超音波計測値や妊娠反応陽性時期などから慎重に決定し,説明する.(A)
2.受精後 10 日までの被曝では奇形発生率の上昇はないと説明する.(B)
3.受精後 11 日~妊娠 10 週での 胎 児 被 曝 は 奇 形 を 誘 発 す る 可 能 性 が あ る が,「50mGy 未満被曝量では奇形発生と被曝量間に関連は認められない」と説明する.(B)
4.妊娠 10~27 週では中枢神経障害を起こす可能性があるが,100mGy 未満では影響しないと説明する.(B)
5.10mGy 程度の放射線被曝は,小児癌の発症頻度をわずかに上昇させるが,個人レベルでの発癌リスクは低いと説明する.(C)

 

お薬と妊娠

医薬品の妊娠中投与による胎児への影響について質問されたら?

1.最終月経,超音波計測値,妊娠反応陽性時期などから医薬品が投与された妊娠時期を推定する.(A)
2.胎児への影響は,ヒトの出生時に確認できる形態異常の頻度(3~5%)との比較で説明する.(B)
3.胎児への影響とともに,その医薬品の有益性・必要性などについても説明する.(B)
4.個々の医薬品については本 CQ 表 1,表 2,CQ104-2~CQ104-4,専門書などを参照して説明する.(B)
5.Answer 3・4 の対応ができない場合は,患者に国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」などの存在を教える.(B)

 

妊娠と薬情報センター | 国立成育医療研究センター

 

お薬と授乳

授乳中に服用している薬物の児への影響について尋ねられたら?

例外はあるが,「授乳婦が服用している薬物が児に大きな悪影響を及ぼすことを示したエビデンスはない」と説明する.(B)
2.児への悪影響が懸念される薬物を服用している授乳婦に対しては,児の哺乳状況(飲み具合,眠り方,機嫌,体重増加など)を観察するように勧める.(C)
3.個々の薬物については,国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」などの専門サイトや専門書を参照する.(C) 

 

葉酸の有効性

神経管閉鎖障害と葉酸の関係について説明を求められたら?

市販のサプリメント類によって 1 日 0.4mg の葉酸を妊娠前から摂取すると,
児の神経管閉鎖障害発症リスクが低減することが期待できる.
2)神経管閉鎖障害児の妊娠既往がある女性が,医師の管理下に妊娠前より 1 日 4mg(5mg1 錠)の葉酸を服用した場合,同胞における発症が低減することが期
待できる

 

授乳の注意点

授乳に関する注意点は

1.直接授乳が困難な場合は,搾母乳を勧める.(C)
2.以下の場合は,授乳中止を勧める.(B)
・母親が HIV 感染症
・新生児がガラクトース血症
断乳を考慮する母親服用薬剤については CQ104-5 参照)
3.断乳には乳汁分泌抑制薬を使用することができる.(C)
4.乳房腫脹,疼痛,発熱などを訴えた場合,乳房緊満,乳腺炎,あるいは乳腺膿瘍の可能性を考える.(B)
5.乳房緊満の予防には,出産後早期の授乳開始や授乳指導を行い,乳汁分泌を促す.(C)
6.乳腺炎に対しては
・搾乳や消炎鎮痛剤投与等を行う.(C)
・24 時間以内に症状が改善しない場合や,急速に症状が悪化する場合には,抗菌薬を投与する.(B)
・長時間乳腺炎症状が持続した場合や症状が強い場合は,細菌培養を行う(B)
7.乳腺膿瘍に対しては
・穿刺あるいは皮膚切開で排膿する.(B)
・難治性の乳腺炎,乳腺膿瘍の場合,MRSA 感染症悪性腫瘍の可能性を検討する.(B)

 

妊娠と虫歯

妊婦のう歯・歯周病については?

妊娠中は歯科疾患が進行しやすいので,う歯・歯周病について相談を受けたら歯科医受診を勧める.

 

妊娠とシートベルト

妊娠中のシートベルト着用,お よ び 新 生 児 の チ ャ イ ル ド シ ー ト
着用について尋ねられたら?

シートベルトの正しい装着により交通事故時の母体胎児の障害軽減が期待で
きる.装着法:「斜めベルトは両乳房の間を通し,腰ベルトは恥骨上に置き,い
ずれのベルトも妊娠子宮を横断しない」.
2)チャイルドシートは特に正しい装着法での使用が児障害軽減に重要である

 

 

 

高島彩 彩日記-Birth-

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