上遠野郷
2016年2月21日14時26分
沖縄県は、県内の子どもの3割が貧困状態にあるとする調査をまとめた。厚生労働省が調べた全国の貧困率の約2倍のレベルに達しており、県は近く30億円規模の支援基金を設けて対策に乗り出す。識者からは、沖縄の「助け合い社会」の変質や、これまでの振興政策の不備を指摘する声も出ている。
調査は昨秋、専門家チームが実施。厚労省が2013年に調査した数値と比較できる県内8自治体の14年の情報を分析した。対象は県内の17歳以下人口の68%にあたる約20万人。
1人当たりの手取り収入の試算額を高い方から並べた際の真ん中の値の半額が「貧困基準」と定義される。県内では、基準未満の収入で暮らす子どもの割合(貧困率)は29・9%であることがわかった。厚労省調査では、全国の12年の貧困率は16・3%だった。
県はまた、小学1年、5年、中学2年の子どもがいる世帯へのアンケートも行い、約3600世帯から回答を得た。「過去1年間に経済的な理由で必要な食料が買えなかった」と答えた子どもは、各学年とも25~30%と全国より10ポイントほど高く、ひとり親世帯では43%を占めた。地域とのつながりを保護者に聞いた「地域行事に参加しているか」との質問では、貧困層は学年が上がるにつれて「参加していない」が増え、中学2年の保護者では6割に達した。
沖縄の「子どもの貧困率」は、他都道府県と比べて高いとの研究もある。山形大の戸室健作准教授は、最低生活費を基準にして都道府県別の貧困率を調査。12年の沖縄の子どもの貧困率は37・5%と最も高く、2位の大阪府(21・8%)を大きく引き離していた。
理由については、識者の見方は様々だ。
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