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ひそかブログ

アニメでするリアルの話、リアルでするアニメの話。そういうのが好きです。

僕だけがいない街 第7話 感想 - 戻れ、戻れよ、もう一度だけ。成し遂げるんだ、今度こそ! これまでとは違う “切望のリバイバル” に感動した

僕だけがいない街 アニメ感想・アニメ関連の話

「僕だけがいない街」第7話、「暴走」の感想です。

僕だけがいない街 第7話 ネタバレ感想


アバンで悟が果たした雛月との “再会”
再会シーンに感動しました。マンガで一度読んだからそうなることは知っていたのに…… 

それでもこみ上げてくるものがありまして。胸が熱くなったなぁ。
じゃあどうして感動したのだろう? 視聴後しばらく考えちゃいました。


原作は既刊7巻のうち6巻までが既読です。

“再会”のアバンを振りかえる

「僕だけがいない街」第7話の個人的なクライマックスはアバンのシーンでした。リバイバルから雛月と再会を果たすまでのシーン。ではセリフ・状況・画像を入れつつ、アバンシーンを振り返ってみます。


(手錠がガチャリ)
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警察官「藤沼悟。殺人、および放火殺人未遂の容疑で逮捕する」

(悟視界の隅の男がニヤリ)
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― アイツだ! 
……終われない。俺にはまだ、やらなきゃならないコトがある。
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戻れ……戻れよ。もう一度だけ。
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頼む……頼む。

戻れぇぇーーーッ!!
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(リバイバル発生のSEから画面暗転)
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(目をパチリパチリ……
視界に熊のはく製。悟が動かした視線の先、カメラが左PANした先に雛月の横顔。劇伴静かにスタート)
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雛月「勇気出して来て良かった」
「ん…… 」

(ストリングスメインの劇伴が大きくボリュームアップ⤴ 伏せ顔の悟)
「本当に…… 」
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(顔を上げた悟が涙顔)
「良かった」
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雛月「バカなの?」


(ケンヤたちが合流し、悟のモノローグ)

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― 成し遂げるんだ、今度こそ。今回こそ。
ひとりぼっちでも、ブサマでも…… 悔いのないように。失敗すれば次のチャンスはない。これが最後のリバイバルだ!


ううむ…… 
感動的な再会シーンだったなぁ。
第7話は2回視聴して、2回ともアバンで涙が出ました。特にアバンで印象的だった点がみっつほど。以下、それぞれについてふれてみます。印象的だったみっつとは、劇伴、言葉の省略、これまでと違ったリバイバル、になります。


①. ボリュームアップのタイミングが絶妙だった劇伴

劇伴(げきばん)は、雛月横顔シーンで高音をメインにした少ない音数で静かに流れはじめます。
それが悟の「ん」のOFF台詞(画面外人物のセリフ)から音量がグワッと上がります。スタート時は高音域で静かだった劇伴が、ストリングス主旋律の中低音域のメロディーになりボリュームがアップ。

この場面で流れる劇伴にはメロディーそのものの良さがありますし、何といってもボリュームアップのタイミングが絶妙! ボリュームアップする劇伴のタイミングに気持ちを揺さぶられました。いやぁいい仕事してますなぁ…… 


②. “省略”されたセリフ回し

上記のセリフやモノローグに、省略されていたと思う言葉を()で捕捉しながら書いてみます。


アイツだ! 
(このままじゃ)終われない。俺にはまだ、やらなきゃならないコトがある。
戻れ……戻れよ。もう一度だけ(でいいから)

「ん…… 」
「本当に……」
「(もう一度加代に会えて、もう一度この時代に戻ることが出来て)良かった」

「(願いが叶いもう一度戻れたからには。加代を救うということを)成し遂げるんだ、今度こそ」


自分の勝手な予想ですけど、こういった言葉が“省略”されていると感じたのが良かった点です。省略とは、視聴者が想像できる余地のこと。省略を感じさせるセリフ回しってほんと好みだったりします。



③. これまでとは違った“リバイバル”

なぜ今回のリバイバルにはこれまでとは違うと感じて感動したのだろう? 視聴後しばらく考えたのち、その理由は、

― 悟が強く望んだリバイバルだったから ―

じゃないかと思いました。


では第7話までに3回あった、大きく時間を移動するリバイバルについて書き出してみます。

  1. 2006年 → 1988年へのリバイバル(第1話ラスト)
  2. 1988年 → 2006年へのリバイバル(第5話Aパートラスト)
  3. 2006年 → 1988年へ2度目のリバイバル(第7話冒頭)


つづいて1.から3.について、それぞれのリバイバルに独断で「あだ名」をつけてみます。

1.は “驚愕”(きょうがく)のリバイバル”

何だこれは?! 何が起こった?
そんな感じで不意打ちの、超長期間のわたる驚愕のリバイバルでした。

2.は “絶望” のリバイバル

アニメ「STEINS;GATE」(シュタインズ・ゲート)のとあるキャラに、
「失敗した失敗した失敗した失敗した」
みたいな場面がありまして。
その場面を想起させるような、2.は雛月を救うことに失敗した悟が絶望にうちひしがれながら巻き起こったリバイバルでした。

3.は “切望” のリバイバル

1.と2.は偶発的かつ突発的に起こったとも言えます。
しかし今回の3.の場合、悟が強く望んだあとに起こったリバイバルでした。そこが1.や2.との大きな違い。

もう一度…… 
もう一度戻れたならば今度こそ。
今度こそ雛月を救う!

悟まさに “切望” のリバイバル。
3.はそういった悟の強い願望が描かれてからのリバイバルだったので、アニメではそこに感動を覚えたのだと思います。1.や2.とは明らかに違ったリバイバルでしたね。そして雛月加代との再会は…… 
ひそかさんの“切望”でもあったりして (*´σー`)ハハッ


2度目の1988年。大きく異なる“情報量”を箇条書きで

今回のリバイバルは、悟が持っている “情報量” という意味でもこれまでのリバイバルとは大きく異なるのではないでしょうか。いうなれば “澤田レポート” による情報の違い。
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以下おもに第6話で語られた、澤田(澤田 真、さわだ まこと。cv:大川透)によって悟にもたらされた情報を箇条書きにしてみます。


  1. 1988年3月2日夜。
    加代は母と母の彼氏から暴行を受け、物置に閉じ込められる。
  2. 同日22:00~23:00。加代は物置から失踪。
  3. 3月3日00:30
    雛月母は、藤沼家に電話をかけ、それとなく加代のゆくえに探りを入れていた。
    (前回悟が爆睡していた時間ですね。今回の悟はそれをふまえ、母親に「電話あった?」と聞いていました。画面に映った時計の針は00:32分ぐらい)
  4. 物置前、残されたゴム長靴の足跡が、白鳥家所有のものと一致した。
  5. 警察が公表した犯行手口について。
    犯人は暴行され気絶した雛月を写真撮影。業務用冷凍庫にて霧吹きを使用し、加代を急速に凍死させる。脳死から約30分ほど待ち、日の出前に雛月家物置に凍死体の加代を戻した
  6. 澤田の推察や彼の持っている情報について。
    白鳥潤は、自分の父親が犯人と思い、彼をかばった可能性が高い。
  7. 警察は、ヒロミ殺害は彼を “女児” と勘違いした人物による犯行と推測。その結果、ヒロミが “男児” だと知っている人物は、容疑者リストから除外された。
  8. しかし実際は、犯人は容疑者リストから外れるよう、それだけの目的でわざとヒロミを殺害した。
  9. ヒロミ殺害時の写真が、白鳥食品の倉庫から見つかった。


情報はざっとこのあたりでしょうか。
犯人は用意周到かつ慎重な人物である ―
それがよくわかる情報ですね。

また悟にとって、生半可なことでは犯人から加代を守れないぞと痛感させるような情報ですので、ある意味開き直ったような状態で今回のリバイバルに向かう覚悟を決めさせる情報でもあるのでしょう。
いちど2006年に戻る。
そのストーリー構成が決して無駄なものではなく、とても意味のある構成なんだということをアニメを見ながら強く感じました。


ミスチルの “HERO” を連想させる僕街の “ヒーロー”

さらに一度2006年に戻ったことによる気持ちの変化も大きいですよね。
愛梨が語ったセリフ、「“信じたい” は 、“信じて欲しい” の裏返し」
それによって第6話逮捕シーンで悟は、
(こんなとき、ヒーローなら何て言うかな?)
とモノローグしていました。

また第7話ではケンヤ(小林賢也、cv:大地葉)に対して、
「俺は、正義の味方……になりたい人」
と。

悟に芽生えた心情の変化。
そのキッカケをつくった最大の功労者が片桐 愛梨(かたぎり あいり、cv:赤﨑千夏)と言えるでしょう。こうして6話・7話と見てきたら「愛梨の存在の大きさ」がよく分かってきました。これはマンガでは気が付かなかった点だなぁ…… 
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余談ですけど。
僕街のセリフに出てきた「ヒーロー」から、Mr.Childrenの曲「HERO」(ヒーロー、2002年)を連想しました。「HERO」一番サビの歌詞です↓

小さい頃に身振り手振りを
真似て見せた
憧れになろうだなんて
大それた気持ちはない
でもヒーローになりたい
ただ一人 君にとっての
つまづいたり 転んだりするようなら
そっと手を差し伸べるよ


「HERO」の動画です↓ (ライブ版)


― でもヒーローになりたい 
ただ一人 君にとっての

か……

僕街の“ヒーロー”からミスチルの“HERO”を連想したんですけど。
もしかしたら、「僕だけがいない街」はミスチルの「HERO」が作品着想アイデアのひとつかもしれないですね。それぐらいに、僕街の“ヒーロー”とミスチルの“HERO”はリンクしているなあと…… ぶっちゃけ、僕街を見てからミスチルの「HERO」を聴くとエラい感動的! そんな事を感じました。


原作とアニメの違いを書かれているブロガーさんを紹介

アニメ一話ごとに、原作とアニメの違いや情報の整理、さらに感想まで書かれている方を紹介します。

僕だけがいない街/ネタバレ考察

気になる方は、ぜひご覧になってみてくださいませ。若干ネタバレ気配は匂ってしまうのかもしれませんが、記事がとても面白いし参考になります。下に、第6話&7話の該当記事へのリンクを貼っておきます。

↓ 第6話
アニメ6話の感想・原作との違い | 僕だけがいない街/ネタバレ考察

↓ 第7話
アニメ7話の感想・原作との違い | 僕だけがいない街/ネタバレ考察

で、アッコねえちゃんってだれだっけ? ← 全然覚えてない人


最後に

自分でいうのもナンですが……
今回の記事はやたらテンションが高い。
やっぱ自分は雛月が好きなんだなーと(笑)

マンガでの雛月も良かったですけど、アニメでは雛月役・悠木碧さんによる演技の魅力が雛月の魅力を倍加しているように思えます。
悠木ちゃんナイス演技! 

声優さんの力によってキャラ魅力が倍加する。
これはアニメ化における醍醐味のひとつなんでしょうね。


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「僕だけがいない街」 (全12話)

(スタッフ)
原作:三部けい
監督:伊藤智彦
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:佐々木啓悟
美術監督:佐藤勝
音楽:梶浦由記
アニメーション制作:A-1 Pictures

(キャスト)
藤沼 悟(ふじぬま さとる)
満島真之介(29歳)、土屋太鳳(10歳)
雛月 加代(ひなづき かよ):悠木碧
藤沼 佐知子(ふじぬま さちこ):高山みなみ
ケンヤ(小林賢也):大地葉
ヒロミ(杉田 広美):鬼頭明里
八代 学:宮本充
「ユウキ」白鳥 潤(しらとり じゅん):水島大宙

(主題歌)
オープニング・テーマ「Re:Re:」
歌:ASIAN KUNG-FU GENERATION

エンディング・テーマ「それは小さな光のような」
歌:さユり