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でもしか医学博士の日記 RSSフィード

2009-05-13

当事者?@救急医療崩壊

今まで「器用仕事」で間に合わせてきたことが限界に達して手詰まりになってきたということが様々な分野であるような気がします。「器用仕事」ってのは技術・気力・資源の限界芸術のように「ゼロ戦」を作るようなことを言うてます。バージョンアップ・パワーアップの余地が無い袋小路でもあります。

で、「救急医療」ってのもそんな「やりくり上手」「器用仕事」でやってきました。「当直」の法的立場が曖昧・微妙なのが最近知られてきましたね。法的には「お留守番」の筈なのに実質は「夜勤」で、でも「当直」だから次の日も勤務があるとか・・

こういうのに対して「ERを作って豊富にスタッフを集めて3交代制」ってのがゼロ戦に対するB29大量生産みたいなやりかたと思います。

ゼロ戦は非常にCPの優れた歴史的名機であります。間に合ってるあいだは「当直」といいつつ救急車に対応さすのは非常に安く付きます。しかし破綻しだすと対策の余地もあまりないし、あまつさえ「救急崩壊」についてある意味で医師側の当事者が構造的に居ないということにも気付きました。∵殆どの医師があくまでも「間に合わせで狩り出された」という立場でしか一般救急にはコミットしてません。

悪趣味な例えをあえてすれば、勤務医が「当直」で「一般救急当直」することについての意識=あなたが高校生であったとして、そしてなんらかのクラブに入っておったとして、それがバドミントン部だろうが陸上部だろうが茶道部だろうが、付属して月に数回軍事教練に召喚されて32時間連続行軍訓練とか匍匐全身とか地雷原走破をやらされる。本当に大怪我することもあるとする。その場合に「軍事教練」に付いてどう思うであろうか?

ついでに・・かつてはみんなが軍国少年に洗脳されていたというか、十数年前は「軍事教練嫌い」とか言うと「非国民」呼ばわりを身内からもされてたようなもんで(あたしは最初から立派な非国民でした)、でも今はもっとしんどくなって教官が泣きを入れてます


さて「(患者にはそんなん)関係ないから何でも診てほしい」って思う人が多いでしょうけども、救急は次の3種に分類されています:

  • 一次救急:外来対応で治療が出来る救急
  • 二次救急:入院して治療を要する救急
  • 三次救急:一般病院では治療が困難な患者を専門病院(→三次救急指定病院)へ搬送

…現在進行形で一次救急・二次救急を担う病院・医師が櫛の歯を折るように減ってますし、それによって三次救急病院に二次救急で対応可能な患者も殺到してすぐにキャパオーバーになったりとどうしようもありません。

最初の例えを続ければお医者さんが専門を選ぶのは中学や高校の時に入るクラブを決めるようにして消化器内科とか耳鼻科とか選ぶわけです。で救命救急センター三次救急を専門医をやろうってひとはまあ陸軍幼年学校に進んだみたいもんね。で職業軍人以外に徴兵しないと色々救急回らないと。で職業軍人徴兵忌避者が増えて仕事が増えたって被害者意識あるかもしれません(実はこのひとらに取っても「一般救急」は仕事ではないと)


仮に「水泳部所属」として→軍事訓練やってもタイムの更新にはあまり役に立たないし怪我したら本職にも差し支える→考えることは軍事教練が義務ではない or 軽いところはどこかな?と考えるますよねえ?

で、ちなみに以下のような設定条件になっております。今生じてる現象はすべて論理的・合理的であって不思議な出来事は一つもないのですよね。

  • 部員が大勢居るところだと軍事教練の順がなかなか回ってこない
  • 一部の高校では軍事教練の義務が何故かない
  • 一般的に都会の高校の方が軍事教練が軽い(and/or ゴネたらやらないで済むことも多い)
  • 水泳部でなくて水泳サークルだと軍事教練ないかも
  • 都市部の弱小高校だと軍事教練を断ってもよい(and/or 断らないと生徒がみんな退学する)
  • 田舎だと弱小だろうがなんだろうが輪から抜けるのはきつい
  • 囲碁将棋部とか図書部なら軍事教練関係ないことが多いが田舎はこの限りではない
  • 都会だと軍事教練をさぼっても目立たない
  • いずれにせよ転校はそんな難しくない

ちなみに、あたしは少なくとも一般救急はせんでよいポジションだけはなんとか取りました&普通の二次救急は絶対にやらないと固く決意wしてます。

それにしても資源の無い国というのはつらいものですな、。

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