サウスカロライナ、共和予備選始まる
【ノースチャールストン(米南部サウスカロライナ州)西田進一郎】米大統領選に向けた共和党候補指名争いの第3戦となるサウスカロライナ州予備選の投票が20日朝(日本時間同夜)、始まった。不動産王ドナルド・トランプ氏(69)が先行し、マルコ・ルビオ上院議員(44)やテッド・クルーズ上院議員(45)らが追う展開だ。即日開票され、20日夜に大勢が判明する。
保守層へ浸透図り舌戦
同党では、初戦の中西部アイオワ州を保守強硬派のクルーズ氏が制し、第2戦の東部ニューハンプシャー州はトランプ氏が勝った。この「2強」と、ルビオ氏やジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(63)ら主流派が争う構図となっている。最新の支持率調査の平均値は、トランプ氏が31.8%で、ルビオ氏18.8%▽クルーズ氏18.5%▽ブッシュ氏10.7%−−と続く。
序盤2州は白人人口がほぼ9割を占めたが、サウスカロライナ州から始まる南部は多様な人口構成で、キリスト教の伝統的価値観を重視する保守的な住民が多い「バイブルベルト」が広がる。同州は多くの軍施設があり、軍人や退役軍人が多い。共和党では1980年以降、同州予備選の勝者は2012年を除いて全て党の候補指名を獲得している。
クルーズ氏は、トランプ氏の人工妊娠中絶を容認する過去の発言を持ち出し、「保守的ではない」と攻撃。投票に行く確率が高い保守的なキリスト教徒を引き付けて逆転を目指す。トランプ氏は、クルーズ氏を「嫌なやつ」などと酷評し、訴訟をちらつかせて攻撃をやめるよう迫るなど対立は先鋭化している。
クルーズ氏は19日の集会で、「サウスカロライナの人々は保守派の次期大統領を望んでいる」と語り、支持を呼びかけた。
これに対し、トランプ氏は大規模集会で、「(昨年)6月に選挙運動を始めた時、こうなると誰が分かっていただろうか」と支持率を誇示。クルーズ氏を「今まで見た誰よりも多くのウソをつく」と改めて非難し、「米国を再び偉大な国にしよう」と締めくくった。
2強の争いに割って入るのがルビオ氏だ。高い人気を誇るニッキー・ヘイリー同州知事の支持を取り付けて勢いが出ており、支持率は予備選の直前でクルーズ氏を上回った。
生き残りをかけるブッシュ氏は前大統領や元大統領夫人ら「ブッシュ家」を動員した選挙戦を展開するが、伸び悩めば撤退論が出る可能性もある。