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民・維合流構想 内向きでは展望開けぬ

 民主党と維新の党との合流構想が前に進まない。しかも議論されているのは合流の方式をどうするかといった内向きで技術的な話ばかりだ。これでは仮に合流したとしても有権者の期待が高まるはずがない。

     合流が実現すれば夏の参院選に向けて野党の核となるべき野党第1党が拡大するのは確かだ。だが、そもそも「維新を吸収・合併したい」というのが民主党の本音であるのに対し、維新は両党が解党し新党を作ることを主張している。これは根本的な違いと言っていい。加えて、それぞれ党内でも個々の議員の意見はまちまちで温度差がある。

     そんな中で、もっぱら焦点になっているのは、旧みんなの党の比例代表で当選した維新の参院議員5人をどうするかという話だ。比例選出議員の無原則な政党間移動を制限する国会法の規定により、新党ができないと5人は合流できないからだ。

     民主党は存続させたまま、民主党の一部議員が離党して維新と新党を結成して5人を受け入れ、参院選後に合流する−−といった、およそ有権者には理解できないような奇策が浮かんでは消えるのはそのためだ。

     民主党には維新の求めに応じて党名を変えるべきだとの意見もある。「立憲民主党」など具体名も出ている。ただし、民主党の多くの議員は「その場合でも選挙などでの略称は民主党だ」と言う。見せかけの党名変更だと認めたようなものだ。

     すでに指摘してきたように、深刻なのは、たとえ新党ができても、あるいは党名を変えたとしても、それでイメージを一新できるのか、その保証もないことだ。

     甘利明前経済再生担当相の「口利き」疑惑以降、閣僚や自民党議員の信じられないような放言やスキャンダルが表面化しても民主、維新両党の支持率はほとんど変わっていない。そうした国民の厳しい目を改めて自覚すべきである。

     合流は両党議員で政権交代を目指すことを意味する。個々の議員や候補者がどうしたら当選できるかという話ではないはずだ。どうしたら有権者のためになるのか。この国のためになるのか。その原点に立ち返った方がいい。

     政権交代を有権者が選択したのにもかかわらず、政権運営がうまくいかなかった民主党への不信は、簡単には解消されそうもない。しかし、少なからぬ有権者が「安倍晋三首相の1強」と言われる今の状況にも満足していないと思われる。緊張感のある国会審議を期待している人は多いだろう。

     参院選に間に合うかどうか。時間は限られてきている。だが、手続き論より、どんな国にしたいかという理念や政策論議がやはり大切だ。

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