韓国の愛煙家たちが昨年、最も多く吸った外国のたばこは「ドイツ製」だということです。外国たばこの代表格である米マールボロや、メビウス(旧マイルドセブン)を中心とする日本のたばこだと思った人も多いことでしょう。
韓国関税庁によると、2015年の一般たばこ(巻きたばこ)の輸入額は前年比117.3%増の3456万8000ドル(約40億円)を記録しました。ドイツ製が22.7%の785万5000ドル(約9億円)でトップでした。愛煙家たちは「ドイツ製のたばこなんてあんまり吸ったことはないのに」と首を傾げることでしょう。
その理由は、日本のたばこメーカー・日本たばこ産業(JT)子会社、JTインターナショナル・コリアが輸入するメビウスとキャメルにあります。これらは日本ブランドのたばこではあるものの、日本ではなくドイツの工場で作られ、韓国に輸入されているのです。たばこの国籍は本社の位置ではなく生産された工場の位置によって決まるため、「ドイツ製」と集計されたのです。
メビウスとキャメルの輸入が増えたのは、JTインターナショナル・コリアの価格戦略も影響したようです。昨年初め、増税により標準的なたばこが1箱=2000ウォン(約190円)値上がりした際、同社はメビウスとキャメルの販売価格をそれぞれ1800ウォン(約170円)、1500ウォン(約140円)しか値上げしませんでした。韓国製たばこなどに比べ、相対的に200ウォン(約20円)、500ウォン(約50円)ずつ安くなった格好です。独島(日本名:竹島)問題を受け、韓国全国でマイルドセブンの不買運動が展開されたのはわずか数年前のことです。「たばこ愛国心」に勝るのは、やはり懐事情ということでしょうか。